1999 Fiscal Year Annual Research Report
炭素不飽和結合置換基をもつセレノニウム塩の反応性の解明と有用な合成素子への応用
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11771388
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 真一 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (40275095)
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Keywords | アルキニルセレノニウム塩 / ビニルセレノニウム塩 / セレヌラン / リガンドカップリング / アリーン / マイケル付加 / 光学活性エノールエーテル / ヘテロ中員環化合物 |
Research Abstract |
アルキニルセレノニウム塩と各種求核剤との反応性を検討した。求核剤としてハライドイオンを用いた場合、ハライドイオンがセレン原子を攻撃した後、ヨウ化物、臭化物イオンとの反応からは1-ハロ-1-アルキンとセレニドが得られたが、フッ化物イオンとからは末端アルキンとセレノキシド得られた。すなわち、アルキニルセレノニウム塩が前者の場合アルキニルカチオンとして、また後者の場合はアルキニルアニオンとして見かけ上振る舞うという興味深い結果を得た。有機リチウム試薬であるアリールリチウムとの反応では、リガンド交換反応を起こし、続いて求核剤が直接セレンを攻撃しセレヌランを生成後リガンドカップリングするのと同時に塩基としてセレノニウム塩のアリールリガンドのβ-水素引き抜きによるアリーン生成機構を起こしていることを証明した。これはセレノニウム塩と求核試薬との反応からアリーンが発生した最初の例である。一方、アルコール存在下アルキニルセレノニウム塩と求核剤であるベンゼンスルフィン酸ナトリウムとの反応からはマイケル付加を起こし、立体選択的に(Z)-β-アルコキシビニルスルホンを与えた。そこで中間体と考えられるβ-スルホニルビニルセレノニウム塩に直接アルコキシドを作用させたところ、高収率で目的物が得られた。さらに光学活性アルコールを用いることで、有機合成上有用な光学活性O-アルキルエノールエーテルの合成に成功した。また、アルキニルセレノニウム塩に対してチオフェノール誘導体との反応もマイケル付加を起こし、トランス付加体である(Z)-β-アリールチオビニルセレノニウム塩が生成した。このセレノニウム塩とアルコキシド、チオラートとの反応は立体選択的に(Z)-β-アルコキシビニルスフィドを与えた。さらにビニルセレノニウム塩に分子内求核反応を行える工夫を凝らし、酸素及び硫黄を含むヘテロ中員環化合物の合成へ応用した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Kataoka,S.Watanabe,et al.: "Reactions of Alkynylselenonium Salts with Tetrabutylammonium Halides:Apparent Umpolung of Alkynyl Moiety"Tetrahedron Lett.. 40・5. 931-934 (1999)
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[Publications] T.Kataoka,S.Watanabe,et al.: "The First Example of Formation of the Benzyne Intermediate from the Reactions of Selenonium Salts with Phenyllithium"Tetrahedron Lett.. 40・11. 2153-2156 (1999)
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[Publications] S.Watanabe,T.Kataoka,et al.: "A Novel Preparation of Chiral (Z)-O-Alkyl Enol Ethers from Alkenylselenonium Salts"J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 15. 2053-2055 (1999)
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[Publications] S.Watanabe,T.Kataoka,et al.: "A Novel Synthesis of 1,2-Dialkylthio- and 2-Alkoxy-1-alkylthioethenes from β-Arylthioalkenylselenonium Salts and Its Application to the Synthesis of Medium-Membered Heterocycles Containing S and O Atoms"Synlett. 1. 49-52 (2000)
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[Publications] S.Watanabe,T.Kataoka,et al.: "The First Aryne Evolution from the Reactions of Selenonium Salts with Aryllithiums"Tetrahedron. (2000)