2000 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病合併症予防効果を持つ抗酸化物質の探索-植物性食品加工廃棄物を資源として-
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11771389
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
永津 明人 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (70244572)
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Keywords | 抗酸化活性 / Trapa bispinosa / AGEs生成抑制活性 / gallic acid / 1,2,3,6-tetragalloylglucose / 2,3,6-trigalloylglucose |
Research Abstract |
今年度はヒシ(Trapa bispinosa)種子の種皮(殻)含有成分の探索研究をした。ヒシの殻を水,EtOHの順に抽出し,そのEtOHエキスのうち5gのMeOH可溶部をHP-20カラムで分離しgallic acid(1,0.70g)とその他の画分に分けた。その他の部分はさらに,ODS MPLC,HPLCを繰り返し,1,2,3,6-tetragalloylglucose(2,54.6mg),新規化合物の2,3,6-trigalloylglucose(3,9.9mg),tellimagrandin II(4,7.7mg)をそれぞれ単離し,NMRスペクトルなどの解析によりその構造を確認した。 これら化合物の抗酸化活性試験としてDPPH(diphenylpicrylhydradyl)ラジカル捕捉活性試験と,糖尿病合併症の原因とされている糖化タンパク質最終生成物(AGEs,advanced glycation end products)の生成抑制活性試験を行った。DPPHラジカル捕捉活性試験では,いずれの化合物も合成抗酸化物質BHAよりも強い活性を示し,2-4の強さは低濃度でより顕著であった。AGEs生成抑制活性試験では,高濃度では対照として用いたフラボノイドのquercetinに及ばなかったが,tetragalloylglucose(2)は低濃度でも生成阻害活性を示した。 これら化合物のうち単離量が多かったgallic acid(1)とtetragalloylglucose(2)について含有量の定量を行った。その結果,ヒシの殻中,1は0.37%,2は13.5%も含まれていることがわかった。このように,ヒシの殻はAGEs生成抑制活性を持つ抗酸化成分が豊富に含まれている事が明らかとなり,その利用が期待できるという結果が得られた。
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Research Products
(1 results)