2000 Fiscal Year Annual Research Report
海産ステロイドAragusterol Aをseedとした抗腫瘍薬リード化合物の創製
Project/Area Number |
11771398
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
見留 英路 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (00266892)
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Keywords | 海洋天然物 / 抗腫瘍 / ステロイド / 合成研究 / アナログ |
Research Abstract |
Aragusterol Aは著者らが沖縄産のXestosponga属海綿より見い出した強力な抗腫瘍活性を有する海産ステロイドである。本化合物はごく最近,ヒト肺癌細胞A549を用いた作用メカニズムの検討により細胞周期をG1期で停止させることが判明し,これまでに無い新しいタイプの抗腫瘍薬のseedとして期待される。申請者は,このaragusterol Aをseedとした新しいタイプの抗腫瘍薬リード化合物の創製を目的にaragusterol Aのステロイド母核の合成を含めた新規合成法の開発を行っている。申請者は,本合成における中間体をaragusterol Aのステロイド母核のA/B環の省略等ダイナミックな構造変換によるアナログ合成に利用することを考え,先ず抗腫瘍活性の発現に必須な12β水酸基を備えたC/D環部に相当するbicyclo[4.3.0]nonane誘導体の合成を検討した。すなわち,光学活性なエノンとα,β-不飽和エステルとの連続Michael反応により立体選択的にbicyclo[2.2.2]octane誘導体を合成した後,ヨウ化サマリウムを用いた分子内ピナコール反応によりD環部に相当する5員環を形成させて三環性化合物とし,レトロアルドール反応とフラグメンテーション反応とを使い分けることで,異なる位置の炭素炭素結合を切断し,二種類のC/D環部に相当するbicyclo[4.3.0]nonane誘導体の合成を達成した。これらの化合物はaragusterol類の全合成における鍵中間体であり,また,これらの化合物それぞれから多彩なアナログが合成可能であることから,aragusterol Aをseedとした新しいタイプの抗腫瘍薬リード化合物の創製に向けて新たな進展が期待できる。
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