1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル反応を基盤とするα,α-二置換-α-アミノ酸の新規合成法の開発
Project/Area Number |
11771401
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 達典 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (20205933)
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Keywords | α,α-二置換-α-アミノ酸 / 1,5-ラジカル移動 / ラジカル環化反応 / tributyltin hydride / L-セリン / オキサゾリジン |
Research Abstract |
α,α-二置換-α-アミノ酸は、近年天然から次々に見出されてきており、その構造上の特色及び特異な生理活性を有することから合成化学的に興味深い化合物群である。本研究は、申請者がここ数年来研究を行っている1,5-ラジカル移動反応を鍵反応としてα,α-二置換-α-アミノ酸の新規な合成法を開発することを目的としている。平成11年度期間中に得られた具体的な成果について以下に列挙する。 1)methyl 3-(ο-iodobenzoyl)-2,2-dimethyloxazolidine-4-carboxylateのoxazolidine4位炭素原子上での位置選択的なラジカルの発生:L-serineから容易に得られる本化合物を還流トルエン中Bu_3SnDで処理したところ、oxazolidine4位炭素原子上のみdeuteriumの導入された還元成績体が81%の収率て得られた。この結果から、serineのα位炭素原子上に選択的にラジカルを発生できることが分った。 2)3-(ο-iodobenzoyl)-N-(p-methoxybenzyl)-2,2-dimethyl-N-[3-(trimethylsilyl)prop-2-ynyl]oxazolidine-4-carboxamideのラジカル環化反応:L-serine methyl ester塩酸塩から3行程を経て収率良く合成した本ラジカル前駆体ををBu_3SnHで処理したところ、スピロ環化成績体 4-benzoyl-3,3-dimethyl-9-(trimethylsilyl)methylene-4,7-diaza-2-oxaspiro[4.4]nonan-6-oneが85%の収率で得られた。この結果は、serineのα位炭素原子上にラジカル反応を経由してアルキル置換基が導入されたことを意味しており、当初の目的であるα,α-二置換-α-アミノ酸誘導体の合成が本方法論により効率良く進行することが判明した。 3)3-(tert-butoxycarbonyl)-N-(o-iodophenyl)-2,2,N-trimethyloxazolidine-4-carboxamideのラジカル環化反応:本化合物のラジカル反応では、1,2',2'-trimethyl-2-oxo-2,3-dihydro-1H-indole-3-spiro-4'-oxazolidineが収率良く(>60%)得られた。これより、oxazolidine環4位に生じたラジカルは分子内芳香環とも効率良く反応することが分った。
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