2000 Fiscal Year Annual Research Report
シリル化合物によるシスチン含有ペプチドの実用的合成法の開発とその応用
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11771402
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
藤原 洋一 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (60199396)
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Keywords | シリルクロリドースルホキシド法 / Trp含有シスチンペプチド / 位置選択的架橋反応 / エンドセリン-1 / ヨウ素酸化法 / インドール保護基 / Fmoc型固相合成 |
Research Abstract |
平成12年度の研究実施結果について以下に述べる。 本年度は前年度に確立した方法論,即ちTrpのインドール環の保護基として2,4-dimethylpent-3-yloxycarbonyl(Doc)基を使用し、シリルクロリドースルホキシド法と既存のジスルフィド結合形成反応を組み合わせて架橋した後、トリフルオロメタンスルホン酸(TFMSA)処理で、Doc基の除去を行うといった手順で、複数のジスルフィド架橋を有するペプチドの位置選択的な化学合成を行った。 1.上述のペプチドの具体例として、その分子内に1個のTrp残基と2個のジスルフィド結合を有するエンドセリン-1(ET-1)を選択した。このペプチドはその完全還元体から空気酸化法にてランダムにジスルフィド結合を形成させた場合、約30%もの架橋異性体が副生が避けられない。よって、効率的に目的のET-1を得るためには、位置選択的架橋反応が不可欠なものとなり、ET-1は今回の方法論を評価するモデルとして最適であると考えた。 2.各保護ペプチド樹脂の構築はFmoc法にて行い、トリフルオロ酢酸にて最終脱保護後、ヨウ素酸化法にて第1のジスルフィド結合(外側)を形成させ、続いて、シリルクロリドースルホキシド法にて2本目のジスルフィド架橋(内側)を形成、さらにTFMSA処理でTrpのDoc基の選択除去、精製後、最終品であるET-1を高純度で収率よく得ることができた。 3.また、2本のジスルフィド結合を2とは逆の順序で形成させる場合でも、ほぼ同程度の純度・収率の中間体の生成が認められ、全体を通しての収率は2の場合と比較して約3倍もの高収率であった。 以上、Trp含有シスチンペプチドを効率的の合成する際の問題点をほぼ解決できた。 今後は、通常では合成困難な新規機能を有する人工ペプチド・蛋白質の合成実験を行っていく予定である。
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