1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヨウ化サマリウムを用いた新規アニオン発生法によるWittig転位反応の開発と応用
Project/Area Number |
11771404
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
日置 和人 神戸学院大学, 薬学部, 実験助手 (70268522)
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Keywords | ヨウ化サマリウム / Wittig転位 / オキセタン / ラジカル / 環開裂 / 還元 / シグマトロピー |
Research Abstract |
ラジカルフラグメンテーションによる方法:オキセタンの3位の置換基上α位にラジカルを発生させ,そのβ-開裂を利用してアリルオキシカルバニオンを発生させる方法を検討した.まず[2+2]光環化反応により合成した3-クロロメチル-3-メチル-2-フェニルオキセタンを用いてSmI_2-ベンゼン-HMPAとの反応を検討したところ,予想通り目的の反応が進行したと考えられるWittig転位生成物を得ることができた.また,ハロゲンを塩素から臭素またはヨウ素へと置換した基質について検討したところ,臭素化体では塩素化体との有意差は見られなかったが,ヨウ素化体では反応時間の短縮,および収率の向上(還流下10分間,85%)を達成することができた.一方,溶媒をTHF-HMPAとした場合には,ベンゼン系の場合に比べ収率が低下する傾向が見られた.これらの結果をもとにSmI_2-ベンゼン-HMPA,還流条件下で,ヨウ素のα位にアルキル基を導入した数種類の基質についても同様に反応を行い,いずれの場合にも目的とするアリルオキシカルバニオンの発生ができることを明らかにした. さらに,オキセタン環の開裂様式は予想していたラジカルによるβ-開裂に加えて,アニオンによる開裂も可能であることが明らかとなった.その開裂様式の違いはオキセタンの2位の置換基に大きく影響され,フェニル基を有する基質の場合にはラジカル的に,置換基のない基質の場合にはアニオン的に,それぞれ一方的に進行することがわかった.以上のようにSmI_2を活用したオキセタン環の開裂により,アリル基とアニオンとを同時に発生させる新規なWittig転位反応を開発した.これらの結果について年内中に報告する予定である.
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