2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヨウ化サマリウムを用いた新規アニオン発生法によるWittig転位反応の開発と応用
Project/Area Number |
11771404
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
日置 和人 神戸学院大学, 薬学部, その他 (70268522)
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Keywords | ヨウ化サマリウム / Wittig転位 / オキセタン / 還元 / 環開裂 / シグマトロピー |
Research Abstract |
[2+2]光環化反応によるオキセタン誘導体の合成では基質ごとに条件検討が必要であり,また多様な副生成物の生成などから収量低下を招くことが多い.そこでまず2-アルキルオキセタン誘導体の合成法を検討し,アルキル基を求核的または求電子的に導入する2種類の合成経路のそれぞれから効率よく目的物を得ることに成功した.これらの方法により合成した基質についてSmI_2-ベンゼン-HMPA中,還流下に反応させたところ,目的のWittig転位生成物を高収率に得ることができた.同基質を用いた,重水共存下での反応,ケトンによるアニオン中間体の捕捉実験,水素化トリブチルスズによるラジカルのみが発生する条件下での反応のすべての結果から,オキセタンの開裂がアニオン機構により進行することを明らかにした.また,環開裂はアルキル基で置換されていない炭素(4位)側で優位に進行することからもアニオン的な開裂が支持される. 一方,HMPAに代わるSmI_2の活性化法として知られる光照射による方法を本法に適用しSmI_2-THFとの反応を試みたところ,2-アルキルオキセタンでは良好な結果が得られなかったが,2-フェニル置換体の場合にはベンゼン-HMPA中での収率と同等以上の結果が得られることが明らかとなった.その際,転位反応そのものが進行しにくいと考えられた基質においても大幅な収率の改善が認められたことから,光照射法はSmI_2の還元力増強だけでなくSmI_2を用いた転位反応にも有効に働く優れた方法であると期待できる. 反応の開始をSmI_2ではなくSm金属を用いて検討したところ,2-フェニル置換体については60%程の収率で反応が進行した.理由は明らかではないが,この反応はHMPAの添加および光照射により抑制されることが確認された.これらの結果について年内中に報告する予定である.
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