1999 Fiscal Year Annual Research Report
高度好熱菌における動物細胞MDR類似輸送担体の機能解析
Project/Area Number |
11771406
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮内 正二 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (30202352)
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Keywords | 高度好熱菌 / ABC輸送担体 / MDR / 多剤排出輸送担体 / 大量発現 / 膜蛋白 |
Research Abstract |
申請者は、高度好熱菌HB8から、動物細胞MDRに非常に相同性の高い、2つのABC輸送担体、TmlpA及びTmlpBが連なる遺伝子群をクローニングした。申請者は、カナマイシン耐性遺伝子(耐熱カナマイシン・デアミナーゼをコードする遺伝子(筑波大学・星野先生から提供していただいたもの))を用いてTmlpA,TmlpB遺伝子を欠損させた株を幾つか作成した。もともと、キノロン系抗生物質、砒素など様々な薬物に対して強い耐性を示めすことを確かめている。この耐性が先ほどの欠損株においてどの様に変化するかを検討した。欠損株は、キノロン系抗生物質をのぞいて、ほとんどの薬物に対する耐性度は変化しなかった。キノロン系抗生物質を運んでいることが示唆された。しかしながら、その耐性度の変化は2倍程度であった。この理由として、これら遺伝子の発現量そのものが低い可能性が推察された。そこで、RT-PCR及びNorthern blot解析を行い、これら輸送担体の発現量を検討した。その結果、これら遺伝子のうち、TmlpBの発現はみられたが、TmlpAの発現は確認出来なかった。また、TmlpA,TmlpBはそれぞれ別々のプロモータにより発現していることが明らかになった。そこで、基質の検討を行う目的で、大腸菌のpETsystemにより、TmlpAおよびTmlpBの大腸菌における大量発現系の構築を試みた。これら蛋白は膜蛋白の10%発現していた。大腸菌膜蛋白のSDS電気泳動をPVDF膜にプロッティングし、N末アミノ酸シークエンスを行い、目的とする蛋白であることを確認している。この組み換え体蛋白は、dodecyl-maltosideには可溶化されず、pentadecafluorooctanoic acidに可溶化されることを見いだした。これら界面活性剤を組み合わせることにより、90%以上の部分精製が可能となった。また、nativePAGEにより分離したTmlpはATPase活性を有していた。これより、これら界面活性剤用いてTmlpの活性を保持したまま膜から可溶化することが可能であることが明らかになった。今後、リポソームへの再構成を行い、この輸送輸送担体の基質の検討を行う。
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