1999 Fiscal Year Annual Research Report
重水素置換と共鳴ラマン分光法を併用した薬物-DNAオリゴマー相互作用の構造研究
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11771407
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
外山 聡 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (60217560)
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Keywords | DNA-薬物相互作用 / 共鳴ラマン分光法 / 重水素ラベルDNA |
Research Abstract |
本研究の目的は、DNAオリゴマーの選択的重水素ラベル化と共鳴ラマン分光法を活用することにより、薬物のDNAへの結合様式を詳細に解明することである。本年度は、着目する残基のみを重水素置換したDNAオリゴマーの合成方法を確立することに重点を置き研究を行った。重水素化が比較的容易であること、および重水素化に伴うラマンスペクトルの変化が明らかであるという観点に立ち、アデニンの8位を重水素化したDNAオリゴマーを標的化合物とした。合成を行うにあたって、1.固相法では大過剰の試薬を用いるため、ヌクレオシドホスホロアミダイト(オリゴマーの合成単位)の大半は単に廃棄される。2.合成終了後、オリゴマーを脱保護する際、ラベルした重水素が脱保護剤の軽水素と交換する可能性がある。という2つの大きな問題がある。これを解決するため、まず、高重水素化率かつ高収率でアミダイトを得る方法を検討した。具体的には、塩基の保護基としてベンゾイル基またはフェノキシアセチル基、5'位水酸基の保護基としてジメトキシトリチル基またはピキシル基を持つもの(計4通り)を検討した。その結果、フェノキシアセチル基とジメトキシトリチル基を保護基としたものが勝れていた。このアミダイトを用いて、常法によりオリゴマーを合成した。脱保護は、10℃、20時間の条件が良い結果を与えた。この方法により、1つのアデニンのみをラベル(重水素化率83%)したDNA14マーが合成できた。このオリゴマーのスペクトルと未ラベル体のスペクトルの差を取ると、ラベルしたアデニン1塩基のみに由来するラマン差スペクトルを得ることができ、本法により、DNA-薬物相互作用の詳細を解明できることの確証を得た。
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