2000 Fiscal Year Annual Research Report
角質バリアー機能におけるコルネオサイトエンベロープの生物物理学的意義の解明
Project/Area Number |
11771411
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30243041)
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Keywords | 角質層 / 角質バリアー / 角質エンベロープ / 細胞膜流動性 / 蛍光異方性 / ESRスペクトル法 / FTIRスペクトル法 |
Research Abstract |
角化細胞の終末分化により形成される角質層は、生体の最外層を構成する組織であり、外界からの異物侵入に対する防御や体温調節・水分蒸散などの恒常性の維持を担っている。この皮膚のバリアー機構の実体を解明することは、皮膚の生理機能及びその異常を理解する上で極めて重要な課題である。corneocyte envelopeの形成不全を起こすtransglutaminase1遺伝子ノックアウト(TGase1^<-/->)マウスでは水分蒸散および物質透過性が異常に亢進していることから、角質バリアー能におけるcorneocyte envelopeの関与は極めて高いと考えられる。昨年度は組織レベルでの解析を行ったが、本年度はマウスより単離した細胞の初代培養系を用いて、細胞膜とcorneocyte envelopeとの相互作用を解析した。一定期間培養し70%コンフルエントに到達した後高カルシウム培地による培養を24時間行い、細胞膜をdiphenylhexatriene(DPH)で蛍光ラベルした。その蛍光異方性を測定したところ、通常の低カルシウム培地で培養した場合と比較したところほとんど違いが認められなかった。5-doxylstearic acidでスピンラベルしてESRスペクトルを測定した場合も両者の間で特に違いは認めれず、corneocyte envelopeの形成は細胞膜流動性に影響を与えないことが示唆された。TG-/-マウス皮膚のFTIRスペクトル解析では、CH2の対称および非対称伸縮基準振動スペクトルが消失することから、cornified envelopeの形成不全はむしろ細胞間脂質の合成あるいは細胞間への分泌の阻害を引き起こし、角質バリアー能を低下させるものと推測された。
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Research Products
(1 results)