1999 Fiscal Year Annual Research Report
動物細胞におけるADPリボシル化反応の生理的役割と制御機構の解析
Project/Area Number |
11771427
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30302615)
|
Keywords | NAD / ADPリボース / ADP-ribosylation / NADアーゼ / 翻訳後修飾 / CD38 |
Research Abstract |
先に申請者らのグループはシグナル伝達系におけるNAD代謝酵素の役割に興味を持ち、細胞表層のNAD水解酵素の実体が細胞表面抗原CD38であることを明らかにすると共に、NADを基質とするADPリボシル化反応の生理的意義についての研究を行ってきた。本研究ではADPリボシル化されたarginine残基からADPリボースを遊離する酵素(ADP-ribosylarginine glycohydrolase;ARGと略)についての検討を行い、以下の知見を得た。1)これまでにARGの活性調節因子や相互作用する蛋白質の存在に関する知見はなく、そららの分子の同定はその機構を検討する上で有用な手がかりを与えると考え、酵母two-hybrid systemによる相互作用分子の検索を行ったところ、既存の遺伝子とは相同性を示さない新規の蛋白質をコードするcDNAを得た(以下ARGIPと呼ぶ)。2)蛋白質レベルでの相互作用を調べる目的で、GST-ARGを用いて共沈降実験を行ったところARGIPとARGはin vitroで結合することが確認され、さらに興味深いことにこの相互作用は酵素活性が低下したARGでは減弱する傾向が見られた。2)ARGIPの欠損変異体を用いた検討により、この結合にはARGIPのC末端約30アミノ酸が重要であることが明らかとなった。3)ラット各臓器よりtotal RNAを調製し、ノーザンブロッティングによりARGIPのmRNAの発現分布を調べたところ、すべての臓器について発現が見られたが、特に脳で発現量が多く、ついで精巣、肝臓で発現量が多かった。4)共焦点顕微鏡によりARGとARGIPの細胞内局在を検討したところ、ARGは細胞内全体に存在したが、ARGIPは核内に多く存在することが明らかになった。
|