2000 Fiscal Year Annual Research Report
粘菌レクチンをモデルタンパクとした機能性タンパクの分泌とその制御機構の解析
Project/Area Number |
11771430
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
守田 雅志 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (20191033)
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Keywords | 真正粘菌 / 分泌 / レクチン / ポリクローナル抗体 / ABCトランスポーター / Walker Aモチーフ |
Research Abstract |
粘菌レクチンをモデルタンパク質として用い、小胞体を介さないタンパク質の分泌の制御機構について調べる目的で、本年度はレクチンの動物細胞での発現と分泌、及び粘菌からの新規ABCトランスポーターの遺伝子クローニングを行った。その結果、新たな知見が得られたので報告する。 1、粘菌レクチンの動物細胞での発現:粘菌レクチン遺伝子を動物発現用ベクターpCDNA3.1+に組み込み、CHO細胞にトランスフェクトした。イムノブロッティング法により目的のタンパクを発現している細胞を調べた。抗体は昨年度大腸菌で発現した組み換えレクチンをウサギに免疫して得られた血清を使用した。その結果いずれの細胞にも発現は認められず、レクチン自体が動物細胞に毒性を示した可能性が考えられた。今後はレクチン活性のない変異レクチンを発現して分泌を調べる必要があると考えられた。 2、タンパク質の膜透過に関与する新規のトランスポーターの存在とその制御機構:真正粘菌Physarum polycephalumの変形体よりmRNAを調製し、ABCトランスポーターファミリーに共通なモチーフ配列を元にプライマーを作製し、RT-PCR法により遺伝子をクローニングした。その結果2種類の遺伝子をクローニングすることができた。推定されるアミノ酸配列には、ATPaseに特徴的なWalker AモチーフとWalker Bモチーフ配列、及びABCトランスポーターに特徴的なLinker peptide配列がよく保存されていた。しかし、膜貫通ドメインは認められず、ヌクレオチド結合ドメインのみからなることが推定された。得られた2種類の遺伝子のアミノ酸配列について系統樹を作製したところこの遺伝子産物は大腸菌のマルトーストランスポートシステムの様なimport systemではなく、P糖タンパク質やCFTRの様なexport systemであることが推察された。
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