2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11771432
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中西 雅之 岐阜大学, 工学部, 助手 (00281048)
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Keywords | 2-5A / 分子擬態 / RNase L / ファージディスプレイ / 抗ウィルス機構 |
Research Abstract |
2-5A(2',5'結合オリゴアデニル酸)はインターフェロンで誘導される抗ウィルス機構,2-5Aシステム,の鍵となる内在性オリゴヌクレオチドであり,リボヌクレアーゼLの活性化を通してその作用を発揮する.本研究では2-5Aを分子擬態するペプチド,すなわちRNase Lに対するペプチド性のアゴニストおよびアンタゴニストを得るためにファージディスプレイ法を実施した.アゴニストは,2-5Aシステムを利用した抗ウィルス治療法の研究に,またアンタゴニストは,RNase Lに結合・機能調節するタンパクの発見に重要な情報を与える. 平成11年度に作製した抗2-5A抗体(ポリクローナル)をレセプターに用いたスクリーニングでは,手長ザル白血病ウィルスのエンベロープ内層タンパク(p12)と高い相同性を示すペプチドが得られた.また,ヒトRNase Lの2-5A結合部位であるアンキリンリピートドメインをレセプターとした場合は,ヒト免疫不全ウィルス(HIV)がコードするプロテアーゼ前駆体タンパクとの相同性を示すペプチドが得られた.これらのペプチドを合成してRNase L活性に及ぼす影響を調べたところ,2-5AのようにRNase Lを活性化する作用こそ認められなかったが,アンタゴニストとしての活性が検出された. この結果は,細胞レベルの抗ウィルス機構である2-5Aシステムに対し,ウィルスがコードするタンパクが阻害活性を示すことを示唆している.
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