2000 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞に見出された新規受容体IRRを介したシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
11771433
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
尾崎 惠一 長崎大学, 薬学部, 助教授 (50252466)
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Keywords | 膵臓 / インスリン受容体 / オーファン受容体 |
Research Abstract |
リガンドが不明なチロシンキナーゼ型受容体、IRRはインスリン受容体ファミリーに属するものの、既知ホルモンが全く結合しないことが知られている。私は、現在までにそのきわめてユニークな組織、細胞特異的な発現パターンを示すこの受容体に着目し、研究を進めてきた。近年、膵臓のランゲルハンス島β細胞にこの受容体が発現していることを見いだし、インスリンを分泌するβ細胞の機能と共にこの受容体の挙動について解析を行っている。 1,IRR高発現CHO細胞、及びマウスインスリノーマMIN6細胞を用いたIRRシグナル解析現在までに、準備したIRRagonist抗体、IRRチロシンキナーゼ活性化体などを活用して、そのシグナル解析を行ったところ、IRRのチロシンの自己リン酸化とともに細胞内のシグナル分子であるIRS-2(Insulin recepror substrate-2)のリン酸化が確認された。IRS-1とIRS-2に対する選択性は現在検討中であるが、膵β細胞にはIRS-2が高発現しており、β細胞におけるIRRシグナルはIRS-2選択性をもつと考えている。 2,インスリン分泌不全により耐糖能異常を起こすことが知られている、2型糖尿病モデル(非肥満型NIDDM)としてのGK(Goto-Kakizaki)ラット、肥満型糖尿病モデルで、高度の肥満を呈し、ら島が肥大化する事が知られているob/obマウスにおいてIRRの高発現が確認され、インスリン分泌内分泌細胞である膵ら島β細胞のインスリン分泌能およびβ細胞の増殖、肥大化とIRRのシグナルとに何らかの関連があると考えられた。以上より、IRRリガンドは膵β細胞の機能に非常に密接に関連した制御因子と考えられ、その同定は急務を要すると考えている。
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