1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラット腎メサンギウム細胞におけるP2X_7プリン受容体を介した細胞死とその役割
Project/Area Number |
11771442
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
原田 均 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30208681)
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Keywords | メサンギウム細胞 / アポトーシス / ATP / P2X7 / P2受容体 |
Research Abstract |
本研究計画は腎糸球体内に存在するメサンギウム細胞において細胞外のATPがP2受容体の1サブタイプであるP2X_7受容体の活性化を介して果たす役割を知ることを目的とし、ラット腎糸球体内メサンギウム細胞の細胞死に及ぼす影響に焦点をあて検討した。 常法に従い得たメサンギウム細胞を用いてP2受容体mRNAの発現をRT-PCR法により検討した結果、P2Y_2、P2Y_4およびP2X_7受容体mRNAの発現が認められた。次いで、ATPならびにP2受容体アゴニスト添加の細胞増殖または死に及ぼす影響について、[^3H]チミジンのDNAへの取り込みを指標としたDNA合成能の測定ならびにミトコンドリアの脱水素酵素活性測定用試薬3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)-2,5 diphenyl-tetrazolium bromide(MTT)を用いた生細胞数の測定により調べた。ATPならびにP2Y受容体アゴニストUTP(各々100μM)にDNA合成促進作用が認められた。一方、P2X_7受容体アゴニストである2'-&3'-O-(4-benzoyl-benzoyl)-ATP(BzATP,100μM)は用量依存的にDNA合成を抑制するとともに生細胞数を減少させた。BzATPによりDNAの断片化やカスパーゼ-3様プロテアーゼの活性上昇といったアポトーシスの指標となる現象も認められ、P2X_7受容体の活性化によってアポトーシス様の細胞死が誘導されることが示された。 以上から、ラット腎メサンギウム細胞にはP2Y受容体を介した細胞増殖促進系に加えてP2X_7受容体活性化を介したアポトーシス誘導系が存在していることが明らかになった。今後、細胞外のATPが腎糸球体内メサンギウム細胞の細胞増殖と細胞死とを如何に調節するかを調べることにより、糸球体機能の調節因子として細胞外ATPの役割を明確にしていきたい。
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Research Products
(1 results)