1999 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍組織浸潤マクロファージの性状解析と新規免疫化学療法剤標的の探索
Project/Area Number |
11771447
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
服部 研之 共立薬科大学, 薬剤学教室, 助手 (90306663)
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Keywords | 免疫化学療法 / マクロファージ / マウス / インドメタシン / ブレオマイシン |
Research Abstract |
Colon26結腸がんをマウスの足蹠に移植するモデルにおいて、低用量のブレオマイシン(BLM)とインドメタシン(IND)を併用すると、相乗効果が認められ、腫瘍の増殖が完全に抑制された。また、腫瘍を拒絶したマウスに再度がん細胞を移植すると、薬物の投与なしに腫瘍を拒絶し、腫瘍に対する免疫の成立が確認された。近年、腫瘍組織浸潤マクロファージがプロスタグランジンE_2(PGE)を産生する型とロイコトリエンB_4(LTB)を産生する型に分けられること、および、マクロファージの細胞障害活性とPGEの産生量とは負の相関が、LTBの産生量とは正の相関が認められることが報告された。しかし、SCIDマウスではこれら薬物の効果が認められなかったことから、effector細胞はT細胞であることが示唆された。 また、MCP-1遺伝子導入がん細胞ではBLMとINDによる免疫誘導は弱く、腫瘍の増殖は完全には抑制されなかった。最近、MCP-1によりTh2型の免疫応答が誘導されることが報告された。この他に、昨年、LTBのantagonistにより、T細胞の増殖やサイトカイン産生が抑制されることが報告された。 さらに、本モデル腫瘍内にはT細胞の浸潤はほとんど認められないことから、BLMとINDの作用点はマクロファージであり、腫瘍マクロファージによる免疫応答を調節することによって、腫瘍に対する免疫反応をTh2型からTh1型へと変化させることによるものであることが示唆された。今後は、本仮説について腫瘍組織浸潤マクロファージを単離することや腫瘍組織でのPGEやLTBの産生量の測定などによって検証を行うとともに、本仮説に基づき、MCP-1遺伝子導入がん細胞のようなモデルに対しても効果的に腫瘍免疫を誘導する薬物療法の開発を目指して研究を行う。
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