1999 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化巣を認識するモノクロナル抗体を用いた動脈硬化形成機構の解析
Project/Area Number |
11771451
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森 雅博 帝京大学, 薬学部, 助手 (00230079)
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Keywords | 動脈硬化 / モノクロナル抗体 / Phosphatidylcholine / Cholesterol |
Research Abstract |
動脈硬化病巣表層部を認識するASH1a/256C抗体の抗原物質は、不飽和脂肪酸を含有するphosphatidylcholine(PC)であること、病巣に蓄積したcholesterolは、PCの抗原性を増強することを明らかにした。本年度は、(1)動脈硬化巣に存在する抗原PCの動態、(2)泡沫細胞内で、この抗原PC複合体が形成される可能性について研究した。(1)動脈硬化病巣ホモジェネートをショ糖密度勾配遠心法で分画し、各画分の抗原活性について検討したところ、抗原活性は、最も比重の軽い画分(Lipid inclusion)と、細胞膜画分に回収され、抗原活性のピークはPCの分布と一致し、cholesterolの分布も抗原活性のパターンと一致した。正常血管壁では、細胞膜画分に多量のPCが存在するにも関わらず、いずれの画分にも抗原活性、cholesterolの蓄積も認められなかった。これらの画分にcholesterolを添加して再度活性を測ると、PCの存在する細胞膜の画分に活性が認められた。 (2)マウスJ774細胞を用いた泡沫細胞誘導系で、本抗体は泡沫化直後の脂質粒は認識せず、培養4日目以降に形成される脂質粒を認識した。本抗体の認識するエピトープは、培養過程で形成されると考えられた。そこで泡沫化後の細胞内脂質の変動を調べると、泡沫化直後の脂質粒の主成分はcholesterol ester(CE)であり、培養過程でCEは減少して、free cholesterolの割合が増加していることが明らかになった。本抗体とfilipinで泡沫細胞を二重染色すると、filipin陽性となった脂質粒が培養4日目以降に出現し、このfilipin陽性の粒を抗体が認識していた。これらの結果から、cholesterolはPCの抗原活性を増強していると考えられ、動脈硬化巣中の抗原物質は、PCそのものではなく、cholesterolの蓄積によって形成される"PC-cholesterol複合体"が真の抗原物質であると考えられた。
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[Publications] Mori.M., Itabe.H., Takatoku.K., Shima.K., Inoue.J., Nishiura.M., Takahashi.H., Ohtake.H., Sato,R., Higashi.Y., Imanaka.T., Ikegami.S.,&Takano.T.: "Presence of Phospholipid-Neutral Lipid Complex Structures in Atheroscrelotic Lesions as Detected by a Novel Monoclonal Antibody"The Journal of Biological Chemistry. Vol.274 No.35. 24828-24837 (1999)