2000 Fiscal Year Annual Research Report
B.cereus菌由来スフィンゴミエリナーゼの立体構造と触媒機構の解明
Project/Area Number |
11771458
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
藤井 忍 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (80218966)
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Keywords | スフィンゴミエリナーゼ / 触媒機能 / 酵素阻害 / 基質アナログ |
Research Abstract |
1.B.cereus菌由来SMaseの結晶化のための酵素溶液の調製において,酵素の凍結乾燥標品を種々の条件で溶解しても,動的光散乱の測定による粒子サイズの分布は不均一であった.そこで,調製方法を検討した結果,2M尿素溶液で溶解後,酸性pHの緩衝液で透析した酵素溶液は,単一な粒子サイズで,十分な酵素活性を有することが明らかになった.次に,この酵素溶液を用いて結晶化条件の検討を行ったが,現時点でX線結晶解析に適した結晶は得られていない.今後は,金属イオンや阻害剤の添加なども考慮し,更なる条件の検討を行う. 2.SMのリン酸エステル部分を他の構造に置換した基質アナログの合成法を確立し阻害実験を行った結果,ホスホン酸に置換したアナログは0.1mMで50%の阻害を示した.しかし,ホスホン酸アミドに置換すると全く阻害を示さなかった.一方,アシル基とホスホン酸の間にメチレン基を挿入した化合物についてはホスホン酸アナログと同程度の阻害を示した.今後はこれら阻害を示した化合物とSMaseの結合様式を調べるとともに,新たな基質アナログの合成とその阻害活性を調べる. 3.一般的にリン脂質加水分解酵素は,基質がミセルを形成すると酵素活性が急激に上昇する.この現象は酵素分子上のミセル認識部位の存在によって説明されている.そこで,短いアルキル鎖のSMを合成し,cmc(臨界ミセル濃度)前後の濃度でSMaseによる加水分解を測定したが,cmcを超えても酵素活性は1.5倍程度にしか増加しなかった.この結果から,SMaseには明確なミセル認識機構が存在しないように思われる.今後は,ミセル認識に関与する金属イオンなどのコファクター存在の有無について調べる.
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