2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規マーカータンパク質Gas1pを用いた酵母エンドサイトーシス経路の解析
Project/Area Number |
11771464
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平田 龍吾 理化学研究所, 動物・細胞システム研究室, 研究員 (60260197)
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Keywords | 細胞膜 / 液胞 / 小胞輸送 / 酵母 / エンドサイトーシス / PMA1 / GAS1 / VMA1 |
Research Abstract |
酵母におけるエンドサイトーシスの解析に用いるための新規なマーカータンパクの候補としてGas1pを同定した。Gas1pは、酵母における主要なGPIアンカータンパク質である。昨年度までの解析で、Gas1pの大部分は細胞膜に局在し、細胞膜からの取り込みは低いという結論を得たが、同じく安定に細胞膜に存在する膜タンパク質であるPma1pとの間に異なる性質が認められたので、この点について解析した。 液胞型ATPase(V-ATPase)は、分泌経路上の細胞内小器官の内腔酸性化に機能するプロトンポンプである。V-ATPaseのサブユニットの欠失変異株(vma1)では、Pma1pの細胞内定常状態量が野生株の1/2程度に低下していた。一方、Gas1pの定常状態量は影響を受けなかった。N末にHAタグを挿入した組換えPma1pを発現する株を構築し、抗HA抗体を用いた間接蛍光抗体法でPma1pの局在性を検討したところ、vma1変異株ではPma1pに由来するの細胞膜の染色が弱くなり、野生株には認められない液胞膜の染色が認められた。変異株におけるPma1p存在量の低下は液胞内プロテアーゼの欠失株で見かけ上抑圧されたことから、vma1変異株ではPma1p-HAの一部が液胞に誤輸送され、液胞内プロテアーゼによって分解を受けていると結論した。 Pma1pの液胞への誤輸送は、野生株をV-ATPaseの選択的阻害剤であるfolimycinで処理した場合にも認められた。そこで、Folimycin処理を様々な分泌変異株と組み合わせてPma1pの液胞への蓄積を間接蛍光抗体法で検討し、Pma1pの誤輸送経路について検討した。Sec18pやVps27pなど、液胞膜タンパク質の細胞内輸送に必要なタンパク質の変異は、folimycin処理によるPma1pの液胞への蓄積を阻害した。一方で、ゴルジから細胞膜への輸送に必要なSec6pや、エンドサイトーシスに必要なEnd3pの変異株では、野生株と同様にPma1pの液胞への誤輸送が観察された。以上の結果から、Pma1pは、細胞膜に出現することなく、ゴルジ体から直接液胞に輸送されると考えられた。
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