1999 Fiscal Year Annual Research Report
大環状化合物は溶液中で柔軟な構造を持ちこの柔軟性は生理活性を制御している
Project/Area Number |
11771470
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
後藤 了 徳島大学, 薬学部, 助手 (50253232)
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Keywords | セファランチン / テトランドリン / イソテトランドリン / 脂質過酸化 |
Research Abstract |
大環状ビスイソキノリンアルカロイドのうち、セファランチンおよびイソテトランドリンは強力なラジカル消去活性、および生体試料における脂質過酸化に対する抑制効果を測定したところ、その効果はビタミンEと比較して速度的には緩やかであるが量的には大きい抑制効果を示すことを見いだした。しかしながら、これらと化学構造の相違がほとんど見られないテトランドリンでは同等の活性は見られなかった。テトランドリンが不活性であることについては他の研究グループからも報告されている内容と一致した結果であった。そこでこれらの化合物のラジカル消去活性のメカニズムを明らかにするために、分子軌道法計算を行い活性化エネルギーの比較を行った。活性中心として筆者らが提唱しているのはこれら化合物のテトラヒドロイソキノリン部分である。このモデル化合物についてメトキシラジカルとの水素移動反応のシミュレーションを密度汎関数法分子軌道法計算(B3LYP/6-31G*)にて実行したところ、テトラヒドロイソキノリンの立体構造と活性化エネルギーとの間に注目すべき関係性が見られることを明らかにした。そこでこの部分構造の立体構造の変化が大環状構造の中でどのような制約を受けるかについて検証するために、大環状構造の立体構造解析を行うためのコンピュータプログラムを開発した。構造探索法は大沢らの報告した貯水池アルゴリズムを拡張したものを用い、構造計算はP.A.Kollmanらの報告したAMBER力場を用いた。その結果、活性の見られないテトランドリンではコンフォメーション変化についてのエントロピーが非常に小さく、このためラジカル分子種の接近に伴う化学反応に対して構造変化を起こしにくく、一方セファランチンやイソテトランドリンでは大きいエントロピー変化を可能にする構造条件を有しており、ラジカル反応の発生がモデル化合物と同様の低い活性化エネルギーの条件で起こりうることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Hashimoto,et al: "Fluctuation of the First Loop Facing the Morix of the Mitochondria"Biochemistry. 38(3). 1050-1056 (1999)
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[Publications] K.Kogure et al: "Potent Antipenoxidation activity of the bisbenzylisoquindine"Biochimica et Biophysica Acta. 1426. 133-142 (1999)
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[Publications] M.Ochiai et al: "Association and Dissociation of (Z)-(p-Bromoalkenyl)"Tetrahedron Letters. 40. 1559-1562 (1999)
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[Publications] H.Chuman et al: "3-D Structure-Activity Relationships of Synthetic Pyralnoids"Quantitative Structure Activity Relationships. 19(印刷中). (2000)