1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11771473
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡田 直貴 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (90312123)
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Keywords | 細胞性製剤 / 補体 / 細胞固定化担体 / 免疫隔離 |
Research Abstract |
本年度の研究により、以下の3点に関する新たな知見を得た。 1 補体失活活性を有する水溶性高分子素材のスクリーニング 抗体感作したヒツジ赤血球はモルモット血清濃度に依存して溶血を起こし、その50%溶血活性(CH50値)をもって血清中の補体活性が評価できる。本系に水溶性高分子素材を種々の濃度で添加することにより起こるCH50値の変化を指標に、24種類の水溶性高分子素材について補体失活活性を評価した。その結果、2種のカチオン性高分子素材および3種のアニオン性高分子素材について、高い補体失活活性が認められた。 2 補体失活活性を有する水溶性高分子素材の細胞傷害性に関する検討 細胞性製剤に用いる高分子担体は細胞傷害性のないことが必須条件である。そこで培養系において、上記のスクリーニングで選択された5種の水溶性高分子物質について、その細胞傷害性をMTT法にて評価した。その結果Polyvinyl sulfate(PVS)およびDextran sulfate(DS)が強力な補体失活活性を有し、且つ細胞傷害性の低い高分子素材であることを見出した。 3 補体抑制機能を有する細胞固定化担体の開発 細胞性製剤に用いる高分子担体の具備すべき条件として、1)細胞固定化操作において細胞を傷害する反応条件が存在しないこと、2)細胞固定化操作が短時間で終えられること、3)化学的・物理的に安定であり、生体内で容易に分解及び破壊されないこと、4)物質の透過が制御可能であること、等が挙げられる.これらの条件をほぼ満足する高分子担体として、PVSあるいはDSをアガロースと混合してマイクロビーズとした新規細胞固定化担体を開発した.PVSあるいはDSを導入したアガロースマイクロビーズに抗体感作したヒツジ赤血球を封入し、補体添加バッファー中で24時間振盪したところ、これら2種の新規細胞固定化担体は通常のアガロースマイクロビーズと比較して封入赤血球の溶血を顕著に抑制できることが明らかとなった。現在、これら新規細胞固定化担体のin vivoにおける体液性免疫隔離能について検討中である。
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