1999 Fiscal Year Annual Research Report
パーオキシナイトライトのシトクロムc修飾反応とミトコンドリア活性・細胞障害作用
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11771475
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
中川 秀彦 放射線医学総合研究所, 第一研究グループ, 研究員 (80281674)
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Keywords | パーオキシナイトライト / ニトロチロシン / シトクロムc / ミトコンドリア膜電位 / ミトコンドリア酸素消費 / 酸化還元反応 / マススペクトロメトリー / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
これまでにミトコンドリア電子伝達系酵素シトクロムcがパーオキシナイトライトとの反応により酸化されやすい性質に変化することを示したが、パーオキシナイトライトによる修飾反応について詳しく解析し、さらにこの修復反応が生体エネルギー産生に与える影響を明らかにする目的で、ESIマススペクトル法を用いた修飾反応の解析およびミトコンドリアにおける修飾シトクロムcの電子伝達活性を膜電位形成、酸素消費の変化から検討した。ESIマススペクトル法を用いた解析およびアミノ酸加水分解物のHPLC分析により、パーオキシナイトライトとの反応によりシトクロムc分子中一つのチロシン残基がニトロ化されることが示された。CDスペクトル法を用いたシトクロムc分子の二次構造解析では大きな変化は観察されず、パーオキシナイトライトによるシトクロムcの修飾作用はチシロン1残基のニトロ化のみであり立体構造はほとんど変化のないことが示された。低浸透圧処理による外膜の選択的破壊によりシトクロムcを除去後パーオキシナイトライト修飾シトクロムc添加してミトコンドリア電子伝達系を再構成し、膜電位感受性蛍光プローブを用いてミトコンドリア膜電位形成能について検討しさらに酸素電極を用いて酸素消費について検討を行った。その結果、パーオキシナイトライト修飾シトクロムcではミトコンドリアの膜電位形成能および酸素消費が低下し、パーオキシナイトライトのシトクロムc修飾作用によりミトコンドリア活性が阻害されることが示された。これらの結果により、活性酸素・活性窒素の一種であるパーオキシナイトライトによるシトクロムc分子の修飾反応がミトコンドリア機能障害を引き起こすことが示され、生体内でのパーオキシナイトライトの新たな障害機序の可能性が示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakagawa H.et al.: "Scavengers for Peroxynitrite : Inhibition of Tyrosine Nitration and Oxidation with Tryptamine Derivatives,a-Lipoic Acid and Synthetic Compounds"Chem.Pharm.Bull.. 48. 261-265 (2000)
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[Publications] Nakagawa H.et al.: "Endogenous and New Synthetic Antioxidants for Peroxynitrite : Selective Inhibitory Effect of 5-Methoxytryptamine and Lipoic Acid on Tyrosine Nitration by Peroxynitrite"Antiox.Redox Signaling. 1. 239-244 (1999)