1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境ホルモンの中枢ニューロンとホルモン分泌機構に与える影響の電気生理学的基礎研究
Project/Area Number |
11771480
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石橋 仁 熊本大学, 薬学部, 講師 (50311874)
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Keywords | 環境ホルモン / マウス / パッチクランプ法 / 中枢神経系 / 海馬CA1領域 / 急性単離ニューロン |
Research Abstract |
これまでに行われた疫学調査や動物実験の報告から、外因性内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)が脳機構にも重篤な影響を及ぼしている可能性が示唆されている。この環境ホルモンは、性ステロイドホルモンとして擬似的に作用することでその作用を発現していると考えられているが、その中枢ニューロンに対する作用はほとんど明らかになっていない。そこで、本研究においては、強力なエストロゲン作用を有するヂエチルスチルベストロール(DES)の哺乳動物中枢ニューロンに対する作用を電気生理学的に検討した。実験には幼弱期のマウス脳から急性単離した海馬CA1錐体ニューロンを用い、ニスタチン穿孔パッチクランプ法を適用することによって各種神経伝達物質応答に対するDESの作用を検討した。まず、興奮性アミノ酸応答に対する作用を調べところ、DESはNMDA応答に影響を与えなかったが、カイニン酸によって誘発される電流を濃度依存的に抑制し、そのIC_<50>値は8.8μMであった。このDESのカイニン酸応答に対する作用に電位依存症は見られず、また、その抑制は比拮抗的であった。ところで、妊娠中の母マウスに低濃度のDESを暴露すると、その母マウスから生まれた仔マウスの行動薬理学的性質が変化した。一方、胎児期に低濃度DESを暴露したマウスの海馬CA1領域より急性単離したニューロンにおいて、興奮性アミノ酸応答の性質を検討したが、DES非暴露群との間に差異は認められなかった。従って、DESはカイニン酸受容体応答を抑制するが、妊娠期に暴露された低濃度のDESでは興奮性アミノ酸受容体自体の性質は変化しないことが示唆された。今後は海馬以外の領域、特に内分泌と関係する視床下部・下垂体に対する作用や、抑制性アミノ酸応答に対する環境ホルモンの効果についても検討する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kuwano K.,Ishibashi H.,Takahama K.: "Antitussive inhibit the 5-HT1A receptor-mediated inwardly rectyfying K^+ current in rat dorsal raphe neurons"The Japanese Journal of Pharmacology. 82(Suppl I). 113 (2000)