1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラット肝細胞及び肝ミクロソームのエストロゲン代謝に対する環境化学物質の影響
Project/Area Number |
11771484
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
神野 透人 国立医薬品食品衛生研究所, 環境衛生化学部, 主任研究官 (10179096)
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Keywords | ラット肝細胞 / 肝ミクロソーム / 薬物代謝酵素 / シトクロムP450 / エストロゲン / 内分泌攪乱化学物質 |
Research Abstract |
本研究では、環境化学物質によるシトクロムP450の誘導あるいは阻害が、肝臓でのエストロゲン代謝に及ぼす影響を評価するためのin vitro実験系として、シトクロムP450の維持に優れた細胞外基質であるマトリゲルを用いて培養したラット肝細胞を採用した。 まず、エストラジオールとその主要な代謝物である16alpha-水酸化体、2-及び4-水酸化体(カテコールエストロゲン)及び2-メトキシ体を、酸化電位の差異に基づいて選択的に検出できるHPLC/ECD同時分析法を開発し、ラット肝細胞及び肝ミクロソームのエストロゲン代謝活性を測定した。 次に、環境化学物質として内分泌攪乱作用が懸念されている4-tert-Octylphenol(OP)、Octylphenol Diethoxylate(OP2EO)に着目し、水環境中に存在するOP関連化合物として4-tert-Octylphenoxyacetic acid(OP1EC)を、またOPの塩素化誘導体として2-Chloro-4-tert-octylpheno1(ClOP)及び2,6-Dichloro-4-tert-octylphenol(Cl2OP)を合成した。 これらの化学物質に曝露したラット肝細胞でエストラジオールの代謝活性とシトクロムP450分子種の変動を測定し、OP、ClOP及びCl2OPによってCYP2B1/2が誘導されること、OP及びClOPは2-水酸化体の生成量を濃度依存的に減少させるが、これはCYP2C11の阻害に起因する可能性が高いこと、OP1EC及びOP1EOはCYP3Aを顕著に誘導し、遺伝子障害性の高い4一水酸化体の生成量を増加させることを明らかにした。
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