1999 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類リズム遺伝子periodの視交差上核神経細胞イオンチャネル調節機構の解明
Project/Area Number |
11771503
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
守屋 孝洋 早稲田大学, 人間総合研究センター, 助手 (80298207)
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Keywords | 体内時計 / 日内リズム / 時計遺伝子 / 視交差上核 / ピリオド遺伝子 / イオンチャネル / アンチセンスオリゴヌクレオチド |
Research Abstract |
1.パッチクランプ法による視交差上核神経細胞興奮性の記録 まず急性作成スライスを用いたホールセルパッチクランプ法により、視交差上核神経細胞の種々のイオン電流測定を行ない、その電流特性を検討した。ラットより厚さ450umの脳スライスを作成し、記録電極を挿入しギガシールを形成後、陰圧負荷によりホールセルバッチを形成した。膜電位を-60mVに固定し、GABAa受容体拮抗薬のビキュキュリン存在下で、スライス上の視神経の電気刺激により、興奮性内向き電流が記録できた。この内向き電流はグルタミン酸受容体の1つであるAMPA受容体の拮抗薬により完全に消失した。さらにAMPA受容体活性化薬であるアニラセタムがこの内向き電流を増強することが判明した。また逆にAMPA受容体拮抗薬存在下で電気刺激を行なうと、外向き電流が観察され、これはビキュキュリンで拮抗されることから、GABAa受容体を介したクロライドイオン流入であることが明らかとなった。 これらの基礎的実験により視交差上核神経細胞のイオン電流特性を明確にすることができた。 2.アンチセンスオリゴヌクレオチドによるピリオド遺伝子発現の抑制とその影響 3種のマウスピリオド遺伝子(mPerl,2,3)の翻訳開始点を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを作成し、その効果を検討するため、脳室内に投与後、光照射を行ない、in situ hybridization法によって視交差上核のピリオド遺伝子の発現量を定量した。その結果、3種類のアンチセンスがそれぞれに対応する遺伝子発現を特異的に抑制することを確認した。また、行動リズムに対する効果を併せて検討したところ、光により誘導されるPer1,2のアンチセンスのみが光によるリセットを抑制することを明らかにできた。今後、これら作成したアンチセンスのイオン電流に対する効果をin vitroの系で検討していく。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T.Nikado et al.: "Sensitizationof methamphetamine-induced disorganization of daily locomotor activity rhythm in male rats"Brain Research. 845. 112-116 (1999)
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[Publications] M.Akiyama et al.: "Modulation of mPerl gene expression by anxiolytic drugs in mouse cerebellum"British Journal of Pharmacology. 128. 1616-1622 (1999)
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[Publications] K.Wan et al.: "Involvement of Ryanodine Receptor Type3 in Dopamine Release from the Striatum:Evidence from Mutant Mice Lacking This Receptor"Biochemical and Biophysical Research Communications. 266. 588-592 (1999)
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[Publications] T.Moriya et al.: "Involvement of Glial Fibrillary Acidic Protein (GEAP) Expressed in Astroglial Cells in Circadian Rhythm under Constant Lighting Conditions in Mice"Journal of Neuroscience Research. 60(発表予定). (2000)
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[Publications] T.Moriya et al.: "N-methyl-D-aspartate receptor subtype 2C is not in volved in circadian oscillation or photic entrainment of the biological clock in mice"Journal of Neuroscience Research. (発表予定). (2000)
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[Publications] M.Ikeda et al.: "PLC β4-independent Ca^<2+> rise via muscarinic receptors in the mouse suprachiasmatic nucleus"Neuroreport. (発表予定). (2000)
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[Publications] 守屋孝洋: "生体の科学 特集 時間生物学の新たな展開"(財)金原一郎記念医学医療振興財団/医学書院. 7 (1999)
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[Publications] 柴田重信: "生物時間の分子生物学"シュプリンガ-・フェアラ-ク東京. 11 (1999)