2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞傷害での免疫学的機序と診断に関する研究
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11771507
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宗像 靖彦 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20271950)
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Keywords | 血管内皮細胞 / アンチトロンビンIII / T細胞 / 接着 / アクチン / TAT / 自己抗体 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、血栓症を有する自己免疫病症例血中に血管内皮細胞表面プロテオグリカンのアンチトロンビンIII(ATIII)結合部位(HPS)に対する自己抗体(抗VPS抗体)が存在し、これらの症例群が、抗カルジオリピン抗体陽性で特徴づけられる抗リン脂質抗体症候群とは別カテゴリーに分類しうる可能性を指摘してきた。本年度は、抗VPS抗体の血栓形成メカニズムを明らかにすることを目的に進められた。 1)動物実験:マウスモノクロナル抗VPS抗体H16をBALB/cマウスに静脈注射を行い、各臓器の血栓症、流産、凝固マーカーなどを観察した。組織学的検索においてin vivoにおけるH16の血管内皮細胞への沈着を認めたが、血栓症、流産の発症に有意な変化は認められなかった。しかし、H16投与群において、血中トロンピンーアンチトロンビンIII結合体(TAT)の有意な上昇を認めた。これは、血管内皮障害に引き続き起こりうる凝固カスケード亢進ベクトルを提供する現象と推定された。 2)培養細胞を用いたin vitro study:H16単独では血栓形成を誘導し得ないことから、免疫系effector細胞であるT細胞との関わりで、血栓形成にいたるプロセスがpromoteされるのかを検討するため、T細胞株H9をH16またはコントロール抗体存在下に臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)と共培養し、H9のHUVECへの接着及び細胞接着関連分子の変化をFACS解析した。H16存在下では、H9のHUVECに対する付着細胞数が有意に亢進していた。現時点で、この現象に関連しうる接着因子は明らかではないが、H9細胞内アクチンの重合が阻害されていた。この現象はH9あるいはHUVECをそれぞれ単独にH16で処理しても観察されないことから、H9-HUVECのcell-cell interactionを必要とし、H16がHUVECを介して間接的に免疫細胞に作用しうる興味深い現象とみられる。
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