1999 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性肝炎診断のための抗ヒトP450自己抗体測定法の開発に関する研究
Project/Area Number |
11771509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多田 尚人 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80263242)
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / P450 2D6 / ラジオリガンドアッセイ |
Research Abstract |
抗肝腎ミクロソーム抗体1(LKM1)の抗原であるチトクロームP450 IID6のより特異的で高感度な自己抗体の測定法の開発を試みているが、前回の研究(奨励A-09772066)に引き続き、ラジオリガンドアッセイ法を主体とした測定を行った。この方法は、プラスミドに組み込まれたヒトチトクロームP450 IID6遺伝子をT7ファージのRNAポリメタ-ゼと網状赤血球抽出液を用いた無細胞蛋白翻訳系で^<35>S-メチオニンラベルしたP450 IID6を合成して抗原として用いるもので、3次元構造の比較的保たれた形で純度の高い抗原を得られる利点がある。前回の研究では、AIHスコアが10以上の自己免疫性肝炎28例中強陽性2、弱陽性13と高率であったが、弱陽性例のほとんどで呼吸実験が陰性で非特異反応の可能性が考えられると報告したが、今回の実験では、呼吸操作の検討の結果、弱陽性例でも半数で50%以上の呼吸が確認され、P450 IID6と反応する抗体が弱いながら存在することが示唆された。ラジオリガンドアッセイ法では、抗原の純度は高いが量は少量しか得られず、したがって、吸収用の抗原に他の方法で得たものを使わざるをえないため前回の研究ではうまく行かなかったものと考える。一方最近、ELISA法によるP450 IID6抗体の測定法がキット化されたので、その方法についても検討したが、この方法によると陽性は、上記の強陽性例のみであった。このように、残りの非吸収例の検討の問題は残るものの、ラジオリガンドアッセイ法によれば、日本人の自己免疫性肝炎において従来いわれていたようにはP450抗体保有率は低くないものと考えられた。
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