Research Abstract |
今年度は,ボランティア導入に向けて患児と家族および看護婦のニーズと,諸背景によるニーズの相違を明らかにするためにボランティアニーズ調査を行った。調査は東北地方の2大学病院,1公立病院において,病棟ボランティア導入小児科2病棟,病棟ボランティア非導入小児科1病棟,病棟ボランティア非導入外科系診療科5病棟にて行い,留め置き調査法にて看護婦126名,入院児の家族80名から回答を得た。質問紙には,調査対象者の属性,ボランティア活動の内容と活動形態に対する希望,ボランティアメンバーに対する希望,加えて看護婦に対してはボランティアメンバーとの情報交換内容等を,家族に対してはボランティアに望む配慮事項を尋ねる質問項目を含めた。 その結果,「遊び」や「行事」,「集団保育」,「病棟飾りつけ」,「学習援助」病棟ボランティア活動に対して,看護婦,家族全体のそれぞれ6割以上が「必要である」または「どちらかといえば必要である」と答えていた。家族,看護婦の7割以上が,1〜4人のボランティア活動人数を,週に1〜3日の活動頻度を希望していた。家族は午前中から面会時間前に活動を多く希望したのに対し,看護婦は午後から面会時間中の活動の希望が多かった(カイ2乗検定,p=0.000)。患児の年齢や入院回数にはボランティアニーズとの関連はみられなかったが,内科系疾患の患児をもつ家族では,外科系疾患患児の家族に比べて「学習援助」,「家族の話し相手」,「家族の趣味活動」,「病棟整理・片づけ」ボランティアをより希望していた。(Mann-Whitney U test,いずれもp<0.05)看護婦は,安全,プライバシー,患児や家族の心理面に関するボランティアとの情報交換を特に希望しており,家族はボランティアに対して,プライバシーヘの配慮,誠実さや明るさ,安らぎ等の資質を希望していた。
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