1999 Fiscal Year Annual Research Report
微生物学的指標による重症患者へのポビドンヨード口腔清拭の有効性の検討
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11771550
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡邊 久美 岡山大学, 医学部, 助手 (60284121)
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Keywords | 口腔ケア / イソジン / スワブ / 歯ブラシ |
Research Abstract |
重度の疾患のために自力で口腔ケアを行えない患者に対する口腔ケアを、より効果的なものへ発展させるため、口腔ケアの効果を微生物学的指標を用いて評価することを試みた。今回は、その効果的な口腔ケアの視点として、口腔ケアの際に用いる「溶剤」と「用具」に着目した。まず、「溶剤」としては、ポビドンヨード剤(以下イソジン液)と水道水による口腔ケアを、どちらの溶剤が口腔内の細菌数を減少させるかを比較した。「用具」は、歯ブラシとスワブ(以下スポンジブラシ)を用い、どちらの口腔ケア用具が口腔内の細菌数を減少させるかを比較した。本研究の対象者は、経管栄養のため経鼻チューブ挿入中の患者、長期にわたり意識障害や寝たきりの状態にある患者5例である。研究者自身が実施した口腔ケアの前後に口腔、舌上、咽頭の各3箇所から検体を採取し、細菌数を調査した。同時に、緑膿菌・MRSAなどの病原菌と、口腔内常在細菌についての同定を行った。 これらの細菌数と同定された細菌の種類から、それぞれの口腔ケアの効果を検討した。 1.口腔、舌上、咽頭の3箇所とも、イソジン液による口腔ケアと水道水による口腔ケアでは、細菌数の減少に明らかな差はみられなかった。 2.口腔、舌上、咽頭の各3箇所とも、歯ブラシによる口腔ケアとスポンジブラシによる口腔ケアでは、細菌数の減少に明らかな差はみられなかった。 3.緑膿菌が2例から検出され、そのうち1例からはα-streptococcusが検出されなかった。 以上の成績から、どの溶剤や口腔ケア器具を用いても、細菌数や検出細菌に明らかな差がないことが示唆された。また、常在細菌叢が撹乱していることが示唆された。このことから、場合によっては、より対象に負担が少なく爽快感の得られる方法として、ヨードを含むイソジン液を用いず、水道水とブラシによる口腔ケアの選択も考慮されるべきであると考える。
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