1999 Fiscal Year Annual Research Report
病院から地域の移行期における精神障害者の「居場所」づくりと看護援助
Project/Area Number |
11771561
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
青木 典子 高知女子大学, 看護学部, 助手 (80305812)
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Keywords | 精神障害者 / 家族 / 居場所 / 移行期 / 在宅ケア |
Research Abstract |
今年度は、退院後の患者と生活する家族8組にインタビューを行い、家族からみた患者の「居場所」と家族が求める移行期のケアについて質的に分析した。 1.家族からみた患者の「居場所」について 全ての対象者が患者が住まいを「居場所」に出来るように、【自由な場】【孤独にさせない場】【保護的な場】として患者に「居場所」を提供していた。そのアプローチには、家族の生活リズムを犠牲にしても患者にあわせる【患者優先群】と患者の状態をそっと見守る【見守り群】があった。どの家族においても、患者の「居場所」の確保は家族の責任として捉え、家族亡き後の「居場所」(自立した生活の場)をいかに確保するかを深刻に考えていた。一方、退院後住まいに閉じこもりがちの患者に対して、家族はなんとか、「社会とのつながりの場」を断ち切らないよう外出や他者との会話の機会をもてるよう配慮していた。また、家族は患者を強く保護する一方で、退院直後からいかに自立した生活の場を確保していくかについて悩んでいた。 2.移行期の患者と暮らす家族が求めるケアについて 家族は患者の「居場所」づくりに相当のエネルギーを使いながら、「どうしていいか分からない」「家族ではもてあます」と困惑を強め医療者の助けを強く求めていた。しかし、実際にこの時期に医療者の関わりは十分とはいいがたい状況であった。家族は特に症状悪化時の対応や、就職も含めた将来的な展望や目処の考え方に最も途方に暮れ、入院から在宅まで継続して相談できる場の確保、同じ病気をもった人の就職や生活状況の情報提供、自立へのプロセスの指南役などを強く望んでいた。
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