1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11771571
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田上 美千佳 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (70227247)
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Keywords | 精神分裂病患者をもつ家族 / 看護援助 / 家族の援助ニーズ |
Research Abstract |
〈研究目的〉 看護職の専門的援助技術として,精神障害者をもつ家族への有効な援助技術を明らかにすることである。 〈結果および考察〉 今年度は,研究目的に従って主に次の2点を実施し,以下の知見を得た。 1,精神分裂病患者をもつ家族と看護婦(士)と退院時面接の参加観察を行うことで,家族援助の実際を把握した。 その結果,看護婦(士)は患者の現在の病状や生活状況といった状態を把握しながらも,家族の介護条件をアセスメントし,家族のニーズをふまえた上での援助を行っていた。具体的には,1)家族の訴え(不満)を受けとめる,2)家族状況を考慮して退院時期の決定する(例;柔軟性をもった日程の調整),3)家族の訴え・状況を把握した上で,退院後の患者の生活を再構築する(生活リズム・人とのつきあい),4)患者と家族の関係性の調整であった。さらに,患者の退院後の生活を再構築していくために,5)家族への教育的な援助を行っている傾向にあった。 2,家族への個人・およびグループを対象とした半構成面接をおこなった。 その結果,現時点で,家族は,1)看護職に特定した援助ニーズと,2)看護職に限定しない医療職への援助ニーズがあることが明らかになってきた。 1)看護婦(士)に特定した援助ニーズ;(1)情緒的ニーズ;患者および家族に対して優しく対応する・声をかける・話を聞く。 2)看護職に限定しない医療職への援助ニーズ;(1)再発時・症状増悪時の精神科救急対応の充実(家族の負担軽減) (2)病状や病気の見通しなど,病気に対する正しい知識伝達の充実 さらに,本研究は来年度も継続する予定である。その内容としては,家族の援助ニーズのさらなる把握,および看護援助の実際の把握を中心とする。なお,上記と比較する意味で,思春期問題をもつ親への援助についても検討した。
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