2000 Fiscal Year Annual Research Report
筋収縮に伴う骨格筋内糖輸送のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
11780028
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
桧垣 靖樹 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (10228702)
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Keywords | 筋収縮 / 糖取り込み / キサンチンオキシダーゼ |
Research Abstract |
本年度の目的は、アデニン代謝産物であるヒポキサンチン→キサンチンの代謝酵素:キサンチンオキシダーゼの代謝抑制剤であるアロプリノール存在下で、骨格筋の電気刺激後、骨格筋内への糖取り込み速度を測定し、運動による糖取り込み能の亢進に、筋から放出されるアデニン代謝産物が関与するかどうか、検討することであった。まず、アロプリノールが安静時の骨格筋糖取り込み速度に影響するかどうかを検討するために、SD系雄ラット3週齢を用い、頚椎脱臼後すばやくEDL筋を摘出し、0.05mM,0.5mM、5mMのアロブリノール存在下で50分間、インキュベーションした後、アイソトープでラベルされたMannitol及び2-deoxy glucoseを用いて、骨格筋細胞内への糖取り込み速度を評価した。その結果、骨格筋糖取り込み速度は濃度依存的に阻害され、5mM濃度下で約20%低下した。次に、5mM濃度のアロプリノール存在下で、日本光電社製の電気刺激装置を用いて骨格筋を電気刺激した(train rate;2/min,train duration;10sec,pulse rate;100pulse/sec,duration;0.1ms,volts;100V)。電気刺激中の骨格筋張力は、トランスジューサを介してレコーダーに記録したが、アロプリノールによって電気刺激による張力には影響なかった。骨格筋収縮による糖取り込み速度は、5mMアロプリノールの存在の有無に関わらず亢進した。以上の結果から、運動直後の糖取り込み亢進にアデニン代謝産物の関与は否定的な結果となったが、安静時の骨格筋糖取り込みにキサンチンオキシターゼの関与が明らかとなり、運動後に観察されるアデニン代謝産物の産生亢進が、運動後数十時間続く糖取り込み能の亢進に寄与している可能性が示唆された。
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