1999 Fiscal Year Annual Research Report
障害を持つ学生に対する大学体育系科目と生涯スポーツとの関連
Project/Area Number |
11780032
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
綿 祐二 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (70240471)
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Keywords | 障害を持つ学生 / 大学体育系科目 / 生涯スポーツ / 同種目継続型 / 異種目継続型 |
Research Abstract |
【目的】本研究は、障害を持つ学生に対する大学一般体育の授業の実態を把握した上で生涯スポーツに対する意識および実践との関連を明らかにし、障害を持つ学生に対する授業の方向性について考察することを目的とした。【方法】150大学に対して郵送法によって、障害を持つ学生に対する体育系授業に関する質問紙調査を実施した(回収率72.9%)。さらに10大学を有意抽出し、授業担当者を通して受講生に対して「生涯スポーツに関する調査」を実施した。調査対象者は、58名(有効回答数44名)であった。【結果】授業に関しては、90%が健常学生との分離型授業を展開していた。受講生の意識では、「スポーツを楽しむ」が46%で最も高く、「生涯スポーツへの導入」は9.1%で低い数値を示した。【考察】1)障害を持つ学生に対する授業において、専門性の知識、用具、施設など不足が指摘された。各専門機関と情報交換を行うなど連携しながら授業に生かしていくことが望まれる。2)大学一般体育の授業の形態として、授業の導入朝(前半)では分離型授業による個人対応、専門的指導が望まれ、発展期(後半)では混合型授業による生涯スポーツへの導入が望まれるのではないだろうか。これまでは、各担当教員の一任で授業が進められてきたが、他の授業との連携もとりながら多角的授業展開が望まれるだろう。3)生涯スポーツへの継続要因として「同種目継続型」と「異種目継続型」に類型化して比較した結果、「同種目型継続型」では、「高校時代の恩師やコーチのアフターフォロー」「ボランティアの存在」、「異種目継続型」では、「大学教員のアフターフォロー」「卒業後の環境設定」「仲間の存在」があげられた。障害を持った学生の生涯スポーツへの導入は、学生時代に生涯スポーツに対する「機会の提示」や「卒業後の生涯スポーツをおこなう環境づくり」までのサポートが必要であることが示唆された。
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