1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11780070
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 真彦 大阪府立大学, 助手 (80305664)
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Keywords | 企業間ネットワーク / イノベーション / 特許 / 自動車産業 |
Research Abstract |
現在,地理学やその他の分野で製造業のイノベーションについて注目が集まっている。こうしたイノベーションの重要性はこれまで指摘されながら研究の対象とはなりにくい傾向にあった。それはイノベーションが客観的に捉えにくく,定量的に分析しにくいためである。 そこで,本研究ではイノベーションを定量的に把握するために工業所有権のデータ,特に特許のデータを用いてイノベーションを捉えた。企業間から生じるイノベーションを特定するために,特許データのなかで複数の企業が共同出願しているデータに注目し,分析を行った。事例として,組立メーカーと部品サプライヤーの間の調整や共同開発が特に重要である自動車産業をとりあげる。具体的には,特許庁特許電子図書館のデータベースを使用し,1998年に登録された特許データから,主要自動車メーカー4社(トヨタ,日産,ホンダ,マツダ)と共同出願を行った企業を抽出した。 その結果,比較的規模の大きな素材メーカーとの共同出願が多くみられた。これは,特許データとして表れるイノベーションの性質によるものと思われる。こうした共同出願を行った企業は地理的に近接しているとは限らない。一方で,トヨタ自動車に顕著にみられるように,系列部品メーカーとの共同出願も多く見られ,このケースでは両者の地理的近接が認められる。 以上のように,特許データはその限界に注意さえすれば,様々なイノベーションを客観的に捉えられるという意味で貴重な資料であり,今後の地理学や産業研究において有用であることが示された。なお,この成果は平成12年日本地理学会春期学術大会にて発表を予定している。
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