2000 Fiscal Year Annual Research Report
薄手柔軟布を用いた婦人服の外観の美しさ、布地の品質に関わる布物性の明確化
Project/Area Number |
11780087
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
中西 正恵 神戸女子大学, 家政学部, 助教授 (20248115)
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Keywords | 布の力学・表面特性 / 布の動きの美しさ / 婦人服のシルエット / 洗濯 / 柔軟仕上げ剤 / のり剤 / 布の触感 / 布の引張り特性 |
Research Abstract |
動作時のワンピースドレスの布の動きの美しさと、布の基本力学特性、衣服の外観の美しさに関与する特性値との関連を詳細に調べ、最終的には、回帰精度および布設計への応用のしやすさ等から、基本力学ブロック別残差回帰方式を適用して、布の基本力学特性値を説明変数とする布の動きの美しさの予測式を提案した(家政誌2001年3月)。予測式の精度の検証は、誘導に用いた試料とは別試料群でスカートを作製し官能評価を行う予定である。その試料群には最近の繊維自身にストレッチ性を付与した布も含める。これらはヒステリシス成分が非常に小さく、布の動きの美しさの予測値が高いため、伸縮性による運動機能性とともに、布の動きの美しさにも利点があると考えられる。また、婦人ドレス地の消費性能の観点から、ポリエステル、絹、綿、テンセルなど各種織物について、それぞれ新品、繰返し水洗濯、洗濯時の仕上げ剤として柔軟仕上げ剤、「おろしたて」の風合いをうたった新しい仕上げ剤、のり剤、の布試料5種を用意し、布の動きの美しさへの影響を予測式を適用して調べた。布の種類により変化の度合いは一様でないが、新品を除く洗濯試料を比較すると、特にのり剤処理布は、予測値に大きく寄与する第1ブロックの低荷重下(最大荷重10gf/cm)での引張仕事量と回復性が小さくなり、美しさの予測値が低下する傾向が認められた。さらに、布の基本力学量から婦人服の最適シルエットを判別する判別値や基本風合い値についても調べたが、洗濯後の仕上げ剤の効果の程度が、布の種類、糸構造や織り構造により異なった。今後、仕上げ剤の無駄な使用を防ぎ、布に適した効果的な使用法を消費者にも提示できるよう、布製造時や洗濯時の仕上げ剤による繊維表面の変化が糸・布構造などと関わって、布の力学・表面特性、衣服のシルエットや風合いなどに及ぼす影響を理論的に捉える研究を推進する必要があると考える。
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[Publications] Masae Nakanishi and Masako Niwa: "The Fabric Mechanical-parameters Related to the Beautiful Motion of One-piece Dress for Ladies"繊維工学研究討論会組織委員会「第29回繊維工学研究討論会発表論文集」. 99-109 (2000)
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[Publications] Masae Nakanishi and Masako Niwa: "Fabric Mechanical Parameters Related to the Beauty of Fabric Movement of Ladies' Garments Brought about by Human Motion"日本家政学会「日本家政学会誌」. Vol.52 No.3. 251-264 (2001)