1999 Fiscal Year Annual Research Report
日常災害の被災危険度に関わる生活行動の実態把握と防災対策に関わる研究
Project/Area Number |
11780089
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Research Institution | Baika Junior College |
Principal Investigator |
延原 理恵 梅花短期大学, その他の部局等, 助教授 (40310718)
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Keywords | 日常災害 / 生活行動 / 高齢者 / 住環境 / 入浴死 / ヒヤリ・ハット事故 / 家族構成 |
Research Abstract |
日常災害に関わる生活行動および日常災害の被災経験に関する調査を実施した。まず、医療機関の協力を得て死体検案書や警察による災害発生現場調書等を閲覧し、日常災害の背景と成り得る因子を抽出した。急死事例については急死から発見に至るまでの過程や発見者と死亡者の関係などを分析することによって、家族構成の変化や地域社会のあり方が日常災害と関わりが大きいことがわかった。中でも入浴中の災害は発生頻度が高く、高齢化や家族構成の変化等の社会変化に伴って深刻化していた。そこで、入浴中の災害に関わる生活行動や浴室での被災経験および浴室環境の実態等についてアンケート調査を実施した。結果を以下に述べる。入浴中のヒヤリ・ハット事故として多く回答されたものは、「滑った」、「浴槽内へ滑り込んだ」、「寝てしまった」であり、その他に「転んだ」、「気分が悪くなった」、「火傷」等が挙げられた。高齢者は入浴動作が困難になる膝痛や腰痛が多く回答されており、浴室内で滑ったときや浴槽の出入りの際、転倒の危険性が高い。また、入浴中の血圧変動に弱い高血圧の人が多かった。これは、医療機関における資料から調査した結果とも一致しており、つぎに入浴中の血圧変動に関係する入浴方法について調べた。その結果、浴室や脱衣場は寒く、湯温は高く設定され、首や肩まで深く湯に浸かるという入浴方法が多く、身体への負担が高い入浴方法がなされていることがわかった。以上、日常災害の社会的、心理生理的、物理的背景の一部を表出させることができた。今後も災害事例データを数多く収集、分析し、日常災害による被災危険度を計算するのに必要な条件を明らかにしていく予定である。
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