1999 Fiscal Year Annual Research Report
食品中の抗体産生調節因子の検索および作用機構の解明
Project/Area Number |
11780094
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
高杉 美佳子 山口県立大学, 生活科学部, 助手 (60305802)
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Keywords | 食品 / 免疫 / 抗体 / リンパ球 / 接着細胞 / 乳タンパク質 / 脂肪酸 |
Research Abstract |
抗体産生調節因子のBリンパ球への直接的な影響と細胞間相互作用への間接的な影響を見るために、抗原提示細胞が培養ディッシュに接着する性質を有することを利用して、接着細胞を含む細胞実験系と含まない細胞実験系を確立した。接着細胞除去のための一般的な条件(38℃,30分インキュベート)で接着細胞を除去した場合と接着細胞を除去しない場合に分けてマウス脾臓細胞を培養し、培養上清中の抗体量を経時的に測定した。その結果、接着細胞は抗体産生応答を修飾すること、抗体産生量の経時的変化が抗体のクラスにより異なることを明らかにした。さらに、接着細胞除去のためのインキュベート時間を変えて調製したマウス脾臓細胞を培養し、培養上清中の総抗体量を測定した結果、2時間までのインキュベートで抗体産生量が大幅に減少し、6時間で抗体産生量は最低値となった。この結果より接着細胞除去のためのインキュベート時間を6時間とした。また、接着細胞を除去したときの抗体産生減少速度が抗体のクラスにより異なっており、抗体産生の接着細胞依存性はクラスにより異なることが示唆された。本研究で確立した細胞実験系を用いて、乳タンパク質および脂肪酸の抗体産生調節機能について検討した結果、ラクトフェリン、α-カゼインおよびβ-カゼインにIgAおよびIgG産生促進作用が認められ、接着細胞存在下ではその促進作用がさらに増強される傾向が認められた。また、ドコサヘキサエン酸に強いIgG抑制作用が認められた。これらの結果は、本研究で確立した実験系は抗体産生調節機能因子の検定に有用であることを示しており、種々の食品成分が抗体産生調節機能を有することが明らかとなった。
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