2000 Fiscal Year Annual Research Report
ゴマ摂取による生体内トコフェロール濃度の調節とその機構の解明
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11780097
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
池田 彩子 椙山女学園大学, 生活科学部, 助手 (80308808)
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Keywords | ゴマ / α-トコフェロール / γ-トコフェロール / α-トコフェロール輸送タンパク質質 / ラット |
Research Abstract |
ゴマ摂取時のラット体内トコフェロール(Toc)濃度の上昇機構を明らかにするために、以下の実験を行った。 1.ゴマ1日間摂取ラットの肝臓中α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)濃度の定量 11週齢のWistar系雄ラットにToc無添加飼料を1週間摂取させた後、ゴマ添加(200g/kg)飼料(ゴマ群)またはγ-Toc添加(50mg/kg)飼料(対照群)を1日間摂取させた。肝臓中のα-Toc濃度は2群間に差は見られなかったが、ゴマ群のγ-Toc濃度は対照群の5.7倍に上昇していた。しかし、この時肝臓中のα-TTPレベルは2群間に明らかな差は観察されなかった。平成11年度の結果も考えあわせると、ゴマ摂取時に肝臓中のα-TTPの量的変化が起きている可能性は少ないと考えられた。 2.ゴマ摂取ラットの尿中Toc代謝物濃度の測定 4週齢のWistar系雄ラットをゴマ添加(200g/kg)飼料群(ゴマ群)またはγ-Toc添加(50mg/kg)飼料群(対照群)の2群に分け、8週間飼育した。主要な臓器中のα-Toc濃度は2群間にほとんど差は見られなかったが、ゴマ群のγ-Toc濃度は対照群に比べて著しく上昇していた。この時、γ-Tocの主要な代謝物である2,7,8-トリメチル-2-(β-カルボキシエチル)-6-ヒドロキシクロマン(γ-CEHC)の尿中排泄量は、対照群に比べてゴマ群で明らかに減少していた。この結果から、ゴマ摂取によるγ-Toc濃度の上昇は、γ-CEHCの生成抑制に起因することが示唆された。 以上の結果から、ラットにγ-Tocを摂取させた場合には、体内ですばやく代謝されてγ-CEHCになりその大部分は尿中へと排泄されるが、同量のγ-Tocをゴマとして摂取させた場合には、γ-CEHCの生成が抑制されることにより体内のγ-Toc濃度が著しく上昇すると考えられる。申請者らは、ゴマ摂取時の体内での過酸化脂質生成抑制を認めており、通常は体内にほとんど貯留しないためビタミンE効力が小さいと考えられているγ-TocにもビタミンE効力が期待できるのではないかと考えている。今後は、ゴマ摂取によるγ-Toc代謝調節作用について、さらに詳しく調べていきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamashita,K.,Takeda,N.and Ikeda,S.: "Effects of various tocopherol-containing diets on tocopherol secretion into bile."Lipids. 35. 163-170 (2000)
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[Publications] 池田彩子,安本(白戸)知子,山下かなへ: "リグナン高含有ゴマのラット体内ビタミンE濃度上昇作用"日本家政学会誌. 51. 1017-1025 (2000)