1999 Fiscal Year Annual Research Report
調理操作による食品成分変化が食品の機能性に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
11780105
|
Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
升井 洋至 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (30229364)
|
Keywords | アンジオテンシン変換酵素 / Grifola frondosa / 脂肪細胞分化 / しょう油しぼりかす / 動物細胞 |
Research Abstract |
これまでにキノコ類で特にマイタケ(Grifola frondosa)に関する研究より食品のもつ機能性として、アンジオテンシン変換酵棄(ACE)の阻害活性を有する13残基のペプチド(Lys-Tyr-Thr-Phe-Ala-Val-Thr-Thr-Val-Lys-Thr-Trp-Val)を単離、報告した。現在、このペプチド及びこのペプチドの各種消化酵素による分解生成ペプチドで同じくACE阻害活性を有するもの(4〜6残基のペプチド)を指標として、キノコ類の調理方法(煮る、蒸す、焼く)によるこれらの活性ペプチドの発現、消長について引き続き研究中である。 動物細胞の脂肪細胞分化を指標とする食品機能性と調理操作との関連については、これまで分化抑制を一次指標として脂肪細胞数やグルセロール-3-リン酸脱水素酵素の活性を用いて、精製を試みてきたが、キノコ類(マイタケ、シイタケ等)で、逆に分化促進を有する活性も合わせて見い出している。この活性もまた、肥満抑制として血中の糖濃度の調節にも有用と考えられる。先の指標と同様に脂質と糖代謝の抑制、促進と関連し食品の機能性としてとらえ、この点に関しても現在、活性物質の精製を行い、その構造解析を進め糖鎖部分をもつ物質と推定している。この構造決定後、ACE阻害の場合と同様に調理操作による食品成分変化の指標として、各種調理操作との関連について明らかにする。 食品未利用廃棄物に関しては、醤油しぼりかす中のACE阻害活性画分の精製が十分でないが、多くのペプチド類が活性物質として含まれており、パン生地への利用と合わせて、10%前後までは醤油しぼりかす添加パンの食味上の問題はないことが官能検査より明らかになった。
|