1999 Fiscal Year Annual Research Report
理科教育成立期におけるヘルバルト・インパクトの日独比較
Project/Area Number |
11780113
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Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
藤井 浩樹 広島女子大学, 生活科学部, 講師 (30274038)
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Keywords | 理科教育史 / 理科教育論 / ヘルバルト |
Research Abstract |
平成11年度は、理科教育成立期におけるヘルバルト・インパクトについて、ドイツの場合を中心に研究を進めた。その結果、主として次の2点が明らかとなった。 (1)近代化学教育の先駆者であるアンレント(R.Arendt)は、ヘルバルト学派の影響を強く受けていたこと。それは彼の化学教育論における次のような特徴に現れている。(1)ヘルバルトの「教育的教授」、すなわち、道徳的品性を身につけさせるための教授の重要性を認めていること(目的・目標論)、(2)ヘルバルトの教授段階説を受け入れ、化学授業の過程を「直感・観察・概念形成」「連合・法則」「自然の発見・帰納」「心情の形成」の4つの段階から構成していること(方法論)、(3)ツィラーの「方法的単元」と共通した考え方、すなわち、一連の教授段階にもとづいた学習活動と、それに用いられる一体性ある学習内容を、ひとまとまりのものとして捉える考え方が見られること(教材構成論)。(2)『生活共存体としての村の池』(1885年)で名高いユンゲ(F.Junge)の博物教育論は、バイヤー(O.Beyer)などに代表されるヘルベルト学派の理科教育論と、きわめて対照的なものとして位置づけることができる。しかし、ユンゲとても当時のヘルバルト学派の隆盛を無視できず、ヘルバルト学派の考え方と何らかの接点を求めている、と受け取られるような言動を繰り返していたこと。このことは、バイヤーがユンゲに向けた批評から読み取ることができる。
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Research Products
(1 results)