1999 Fiscal Year Annual Research Report
周辺視野障害者の視覚系・運動系の評価とリハビリテーションに関する教育工学的研究
Project/Area Number |
11780128
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 巌 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (90305300)
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Keywords | 視覚障害 / 視野 / リハビリテーション / 重心動揺 |
Research Abstract |
本年度は、周辺視野障害者の視覚系、運動系の評価に関する基礎的な研究を行った。主に視覚と立位姿勢における重心動揺との関連に焦点を定め、以下の2点について研究を実施した。 (1)周辺視野障害者の視覚系、運動系の関連に関する従来の研究の整理 視覚障害者を対象とした重心動揺に関する研究では、ロービジョンにおける重心動揺の特徴として、開眼時の方が閉眼時よりも動揺が大きいという点で晴眼者とは異なる状況を報告している。このような結果は、実生活において視覚障害者のリハビリテーションに携わっている者から聞く報告と一致している。しかし、これら研究のほとんどは、対象者の抱える障害の様相が多種多様であり、視覚の状況との関連はまだ詳しく追究されていない。一方で、この原因として重心動揺における視覚の影響が考えられるが、詳細な分析はなされていなかった。この点について研究を進めることにより、彼らの姿勢制御において有効な視覚環境を提供することができると推察される。 (2)視覚系、運動系の関連に関する実験的評価 重心動揺における視覚の影響を研究するための実験環境を整え、試験的に実験を行った。被験者は晴眼の大学生である。ロンベルク姿勢で頭や手を安定させた状態で、開眼時および閉眼時の重心動揺を測定した。また開眼時および視野狭窄のシュミレーション(5゜、10゜、15゜)において左右20゜の範囲を動く格子刺激を追視させた。その結果、閉眼時の動揺が他のどの条件よりも動揺が大きく、頭を安定させた開眼時の動揺が最小であった。格子刺激を追試した時の動揺量は、先の2者の間であり、視野による影響はなかった。以上から、ロービジョンにおける重心動揺の関係において、視野以外の視覚の要因が影響している可能性が伺える。今後、コントラストや視力など他の要因も含めた実験を計画して進めていく予定である。
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