1999 Fiscal Year Annual Research Report
重度脳障害児における共同注意機能評価尺度の作成とそれに基づく探索行動指導法の開発
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11780140
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北島 善夫 千葉大学, 教育学部, 助教授 (70260479)
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Keywords | 重症心身障害 / 共同注意 / 探索行動 / 心拍反応(HR) |
Research Abstract |
1.横断的・実験的検討:共同注意機能の指標として,注意の時間的制御を反映する心拍(Heart Rate:HR)指標と注視行動を測定した.HRに関しては,刺減に対する注意喚起を反映する短潜時減速反応と,注意維持を伴う外的刺激の取り入れを反映する持続的HR減速の定量的評価を行った.さらに,覚醒水準の変動を含み前述の注意の背景として機能する心理的緊張を反映する呼吸性心拍変動を取り上げた.これらの3測度は,いずれもこれまでの研究蓄積をふまえて,重障児においても測定,分析可能であった.共同注意機能の評価で特に重要となるのは,他者の行動(例えば,指差しやことばがけ)に応じた注意の切り替えの側面である.この点で,注視行動が重要となる.そのため行動評価装置を用い,VTR再生時に,観察者2名が当該行動の生起に対してスイッチを押し,電圧変化として磁気記録した.磁気記録をサンプリング間隔10ミリ秒でA/D変換後,(1,0)データに置換し,2名が一致して生起と判所した区間を,行動生起とした.これにより,他者の行動に応じた注意の切り替えがかなり高精度に検討できた.本年度は,10名の重障者を対象に,介助者介入時の期待分化形成過程を測定場面として用い,介助者の介入に伴う共同注意機能の評価を行った.10名中4名では,分化形成が認められ,共同注意機能の発現による正の介入効果が考えられた.今後は,呼吸性変動を含む総合評価を行う必要がある.また,実際の指導場面への通用が検討課題となる.2.縦断的・事例的検討:過去に探索行動の指導を行った発達水準の異なる3事例について,共同注意機能と探索行動の高次化に視点を当てて,指導経過を再整理した.これにより,指導プログラムのモデルの枠組みを得ることができた.
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Research Products
(2 results)