1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11780144
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安 直哉 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (30230204)
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Keywords | 音声国語教育 |
Research Abstract |
「音声国語教育の日英対照研究」の第1年度目として、本年度は主に、1960年代後期のイギリスにおける中等音声国語教育課程論を研究した。この時期、イギリスの中等学校で、音声国語教育を充実させようとする思潮が見られた。そうした立場で著された中等学校用指導書が出版された。それがハーベイ(Harvey,B.)著『オーラシーの領域』(1968年)である。同書を分析することで、当時考えられていた中等音声国語教育課程を解明した。そこには、「討論」「スピーチ場面」「個人研究発表」「朗読」「詩の暗唱」「演劇におけるスピーチ」「スピーチのメカニズム」の7領域が認められた。ただし、「討論」や「スピーチ場面」や「個人研究発表」では、その話題が国語科とは関係のない場面が多く、国語科の教材とは何であるかを再考する必要が指摘できた。また、「演劇におけるスピーチ」では国語科と演劇科とに重なり合う部分があることがわかった。そして、「スピーチのメカニズム」の領域は独立しているわけではなく、むしろ、朗読等の領域の指導の際に触れられていくものであることも明らかになった。 また、バーニストン(Burniston,C.)著『生活のためのスピーチ』(1966年)は、本格的な中等学校用音声国語教科書の初期のものである。同書を中心に分析した結果、それまでの言語要素主義的教科書から国語活動重視の教科書へと変遷を遂げたことがわかった。問題点としては、次の二点が指摘できた。第一は、架空の国語活動が中心になっていることである。第二は、スピーチブランを立てるための入り口までは導いてくれるものの、その後に来るべき指導・学習過程の展開の説明が不十分なことである。
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Research Products
(1 results)