1999 Fiscal Year Annual Research Report
英語コミュニケーション能力の向上を目指した文法指導に関する研究
Project/Area Number |
11780149
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
大場 浩正 北海道医療大学, 基礎教育部(教養部), 助教授 (10265069)
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Keywords | 関係代名詞節 / 機能範疇 / 補文標識 / wh-演算子 / 素性 / ミニマリスト・プログラム |
Research Abstract |
日本人英語学習者に対する関係代名詞節の指導において,その指導内容体系を構築する際に用いる理論的枠組みを設定するために,「言語の知識」に関するChomskyの言語学的枠組みと「語用論の知識」に関するLeechの言語学的枠組みを検討してきた。「文法的能力を形成する領域」に属する指導内容と教材を開発する際,Chomsky(1995,1998)を中心とする最新の生成文法理論の枠組みであるミニマリスト・プログラムを用いることによって,関係代名詞節をより明確に分類出来る可能性があることが分かってきた。すなわち,言語の機能範疇の一つである補文標識およびwh-演算子(関係代名詞もこの中に含まれる)に関して,Rizzi(1990)が提案した「素性」(補文標識が持つ固有の特徴。例えば,[±wh],[±predicative],[±agreement])の観点による分類が,関係代名詞節の分類として有効であった。今後は、その「素性」の相違の観点から英語と日本語の関係代名詞節の相違(機能範疇におけるパラメータの違い)を説明し,日本人英語学習者の関係代名詞節の学習における困難点の予測を試み,さらにその困難点を克服するための効果的な指導内容と教材を開発する。 しかしながら、「語用論的能力を形成する領域」に属する指導内容と教材を開発するための理論的基盤として,Leechの研究を含め,あまり有効なものが提案されていないことが分かってきた。つまり,語用論的能力とは実際のコミュニケーションにおいて,「特定の文脈(場面)が決定する言語使用上の取り決めを適切に理解したり,それらを操る能力」のことであり,特定の文法項目だけをこの枠組みの中で指導することは極めて困難であると思われる。従って,今後は「語用論的能力を形成する領域」を見直し,新たな視点から代案となるべき指導内容を設定し,それに基づいて教材作成をしていかなければならない。
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Research Products
(1 results)