2000 Fiscal Year Annual Research Report
異機種計算機環境におけるモーバイルオブジェクト実行システムに関する研究
Project/Area Number |
11780189
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松原 克弥 筑波大学, 電子・情報工学系, 助手 (70302396)
|
Keywords | 異機種計算機環境 / オブジェクトモビリティ / モーバイルオブジェクト / モーバイルエージェント / ネイティブコード / 抽象機械コード / 広域ネットワーク / 実行時コンパイル |
Research Abstract |
本年度は,昨年度の研究成果の外部公表を行うとともに,提案方式の検証を行うために,昨年度実装したプロトタイプシステム上で以下のアプリケーションの実装を行い,評価を行った. 1.既存プログラミング言語のモーバイル化 あるプログラミング言語システムにモーバイルエージェントの機能を導入しようとする場合,プログラミング言語システムの実行時システムの実行状態を直列化(シリアリゼーション)する必要があるため,それを実装するシステムプログラマには,対象プログラミング言語システムに関する深い知識と多大な作業量が要求される.本実現では,昨年度の研究成果で実現した,分散環境でユーザ透明に移動可能なモーバイル・メモリセグメントの機構を用いて,明示的なシリアリゼーション記述をすることなしに,モーバイルエージェントシステムを系統的に実現する方法を提案した. 2.仮想機械独立なアプレットの実現 WWW環境において,サーバにあるプログラムコードを動的にダウンロードし,クライアントサイトでのセキュリティ保全を行いながら実行することを可能としたプログラムコードをアプレットと呼ぶ.現在の多くのアプレットシステムは,実装の容易さや異機種環境への対応などの利点から,計算機アーキテクチャに独立な仮想機械コードを用いてアプレットを実現している.仮想機械コードは,インタプリタによる解釈実行,もしくはネイティブコードへの変換処理を伴うため,仮想機械コードの設計が実行時性能に大きく影響する.しかし,通常,アプレットシステム毎に仮想機械コード表現を固定していて,変更することはできない.本実現では,昨年度実装したプロトタイプ上で,仮想機械コードをネイティブコードに変換するJust-In-Time(JIT)コンパイラをモバイル化することで,仮想機械コードの設計に独立なアプレット実行環境を実現した.
|
-
[Publications] 松原克弥: "動的双方向方向変換技術に基づいた異機種オブジェクトモビリティの実現法"情報処理学会論文誌. 41・6. 1651-1664 (2000)
-
[Publications] 東村邦彦: "アクティブネットワーク技術を用いた多重名前空間の実現法"情報処理学会論文誌. 41・6. 1665-1676 (2000)
-
[Publications] 吉田雅年: "モーバイル・メモリセグメントを用いたモーバイルプログラミング言語の非抽出型実現方式"情報処理学会論文誌プログラミング. 41・S9P8. 25-36 (2000)
-
[Publications] 板橋一正: "仮想機械独立なアプレットシステムの実現"電子情報通信学会和文論文誌D-I. (2001)