2000 Fiscal Year Annual Research Report
船舶操縦におけるヒューマンエラー発生メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
11780325
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Research Institution | 東京商船大学 |
Principal Investigator |
石橋 篤 東京商船大学, 商船学部, 講師 (00242321)
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Keywords | 船舶操縦性能 / 港内操船 / 数学モデル / 操船者特性 |
Research Abstract |
操縦性基準策定に関する多くの研究成果は設計者(造船)の立場から評価されたものであり、実際に船を操船する使用者(操船者)の立場に立って行われたものは極僅かである。本研究は、操船者の観点から船の持つべき性能について議論するものである。 本年度は操船シミュレータを用い港内へのアプローチ操船を対象とした減速操船に主眼を置き、操船者特性の抽出を行った。さらに、シミュレータ実験より得られた操船者特性のモデル化を行い、人間の特性を考慮した数値シミュレーションの実施が可能となった。 本研究成果により得られた結果を以下に示す 1)本研究で提案する操船者モデルは、航路航行時における操船者の操船方法および時々刻々変化する操船状態を表現できることが確認された。その結果次のことが確認できた。 (1)操船者の舵制御モデルとして、変針及び保針時の舵角は船首方位偏角、横偏位量、回頭角速度の関係により決定される。 (2)操船者の機関制御モデルはプロペラ正転による減速、ブースティングによる保針、プロペラ逆転による減速の要素に分けられる。 (3)プロペラ正転による減速の機関制御モデルとして、プロペラ回転数は残航程と速力の関係により決定される。 (4)ブースティングによる保針の機関制御モデルはブースティング開始時期及びプロペラ回転数は船首方位偏角、横偏位量、回頭角速度との関係により決定される。 2)操船者制御モデルを用いた数値シミュレーションを用いて船舶操縦性能評価の検討を行った。 (1)操船者の行う操縦性評価は操舵に用いた舵角の時間積分と高い相関関係がある。 (2)船舶の操縦性能を変化させて操船者制御モデルを用いたシミュレーションを実行することにより、操船者の実施する操縦性評価を推定することが可能である。 (3)操船者の実施する操縦性評価は船舶の操縦性能を示すT/K・Lにより推定することが可能である。 (4)操船者は舵角に対するゲインよりも、操舵に対する応答遅れを評価している。 (5)操縦性基準を策定するためには、操船者特性を考慮し、応答遅れの項目について検討することが望ましい。
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