1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリウム/酸素系大気圧グロープラズマによる有機物の酸化における酸素原子の効果
Project/Area Number |
11780352
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田中 邦翁 上智大学, 理工学部, 助手 (60276516)
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Keywords | 大気圧グロープラズマ / 吹き出し型放電管 / アッシング |
Research Abstract |
プラズマによる有機物の酸化除去処理(アッシング)において、放電場で生じた酸素原子が酸化反応の主活性種であることは、低圧グロープラズマによるフォトレジストのアッシングなどの研究から明らかにされている。本研究で採用している大気圧グロープラズマにおいても同様に、酸素原子がアッシング反応の主活性種となると推測されるが、いまだ各放電パラメーターに対する処理速度の依存性についてすら詳細が明らかではなかった。そこで、本年度はその依存性について調査することを目的とした。 実験には吹き出し型の放電管を用い、放電場を通過させたガスを吹き付けることでアッシング処理を行う方法を採用した。試料ガスには、酸素ガスをヘリウムもしくはアルゴンガスで数%程度に希釈したものを用いた。電源には 13.56MHzのRF電源を用いた。 アッシング速度は、放電電力が大きいほど、また処理ガスが放電場を通過してから試料表面に到達するまでの時間が短いほど速くなった。特に到達時間の影響は大きく、数msのオーダーでアッシング速度が急激に減少した。酸素原子の再結合反応速度定数から推測される酸素原子の減少速度もほぼ同程度の時間オーダーであることから、本研究におけるアッシング反応も酸素原子が主活性種であることが推測される。次に、処理ガス中の酸素ガス組成について調べたところ、ある組成まではアッシング速度は組成に従って速くなったが、その後急激に低下してしまうことが分かった。これは、酸素原子と酸素分子によるオゾン生成反応が影響しているためであると推測されるが、詳細はまだ不明である。また、アッシング速度は試料ガスの放電場での滞留時間を長くすることでも速くなることが分かった。 以上、放電パラメーターとアッシング速度の関係について一通り調べ終えたので、次年度は実際にガス中の各活性種の種類や密度について調べる予定である。
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