2000 Fiscal Year Annual Research Report
放射性廃棄物の地層処分におけるセメント溶出物質の粘土バリア材料に及ぼす影響評価
Project/Area Number |
11780366
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小崎 完 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60234746)
|
Keywords | 放射性廃棄物 / セメント / ベントナイト / 地層処分 / Ca^<2+>イオン / 拡散 / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
放射性廃棄物の地層処分において、地下水等からもたらされるCa^<2+>イオンによるベントナイト緩衝材の性能劣化に関する検討を行うため、ベントナイトの主たる構成鉱物であるNa型モンモリロナイト中のCa^<2+>イオンの拡散係数を測定した。乾燥密度1.0〜1.8Mgm^<-3>に圧密したNa型モンモリロナイト中で得られた見かけの拡散係数は、拡散温度298Kにおいて1.7×10^<-11>〜6.0×10^<-12>m^2s^<-1>であった。Ca^<2+>イオンの拡散係数は、それぞれの乾燥密度において、Na^+イオンの拡散係数の約4分の1であり、このことからNa型モンモリロナイトのCa型化への変質にはCa^<2+>イオンの拡散が律速となることが示唆された。一方、見かけの拡散係数の温度依存性から求めた活性化エネルギーは、乾燥密度1.0〜1.6Mgm^<-3>において自由水中の値(17.3kJmol^<-1>)とほぼ等しいほぼ一定の値(18.3〜19.7kJmol^<-1>)となったのに対し、乾燥密度1.8Mgm^<-3>では、活性化エネルギーは25.1kJmol^<-1>に急激に増加した。このようなCa^<2+>イオンの拡散の活性化エネルギーの乾燥密度依存性は、他の陽イオン(Na^+、Sr^<2+>イオン)のものと異なっており、特に乾燥密度1.8Mgm^<-3>における急激な増加は、従来の拡散モデルである細孔拡散モデルでは説明できない。そこで、X線回折法によって求めたモンモリロナイトの底面間隔の乾燥密度依存性に関するデータと併せて検討を加えた。その結果、Ca^<2+>イオンは乾燥密度1.0〜1.8Mg m^<-3>においてモンモリロナイト層間を拡散していること、また乾燥密度1.8Mg m^<-3>における活性化エネルギーの急激な増加は、層間距離が3水分子層から2水分子層に減少したことに起因するものであることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)