1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11780379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣川 淳 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (20262115)
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Keywords | 海塩粒子 / オゾン / 不均一反応 / 取り込み係数 / 臭素分子 / 海洋境界層 |
Research Abstract |
クヌッセンセル法を用い、海塩粒子のモデル化合物に対するオゾンの取り込み過程を調べた。海塩粒子のモデル化合物として、臭化ナトリウム、臭化マグネシウム、合成海塩粒子の三種類の固体粒子を用いた。臭化ナトリウムに対するオゾンの取り込みは本研究で用いた装置では観測されず、取り込み係数は<1×10^<-5>と小さい値であることがわかった。また、取り込みにともなう生成物もみとめられなかった。一方、臭化マグネシウム及び合成海塩粒子に対しては、オゾンの取り込み及びそれにともなう臭素分子の生成が見られた。取り込み係数に関しては、臭化マグネシウムの場合で(1.4±1.0)×10^<-3>、合成海塩の場合で(1.2±1.0)×10^<-3>という、ともに大きい値が得られた。生成する臭素分子の収率を見積もったところ、臭化マグネシウムで50%、合成海塩粒子で10〜50%という値が得られた。臭素分子は太陽光により解離し、反応性の高い臭素分子を生成することから、ここで得られた実験結果は、実際の海洋境界層において、オゾンと海塩粒子との不均一化学反応を通して臭素分子が生成し、その光解離により生成する臭素原子がオゾンの触媒的な破壊反応をはじめ大気化学過程に関することを示唆している。また、臭化ナトリウムでは取り込みが見えなかったにもかかわらず、合成海塩粒子及び臭化マグネシウムでは、約10^<-3>の係数で取り込みが起こることから、実際に海塩粒子に対するオゾンの取り込み過程には、マグネシウムをはじめとする微量成分が重要な役割を果たしていることが分かった。
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