2000 Fiscal Year Annual Research Report
近慣性周期内部重力波による物質の鉛直輸送・散逸過程に関する研究
Project/Area Number |
11780382
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
北出 裕二郎 東京水産大学, 水産学部, 助手 (50281001)
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Keywords | 近慣性周期 / 内部重力波 / 鉛直混合 / 鉛直シアー / 鉛直混合 / 内部静振 |
Research Abstract |
1.数値実験による研究 近慣性周期内部重力波は水平流速の強い鉛直シアーを伴う。その流速シアーにより生じる高周波内部波の砕波やそれに伴う海水混合について、非静水圧近似の鉛直2次元モデルを用いて調べた。 ○海底から上層に向かって増加する水平流速のシアー中における内部重力波の基本的な変形発展として、(1)上層に内部重力波のエネルギーが集中し、鉛直変位の振幅が上層で大きくなる、(2)上層では内部重力波の伝播方向、下層では反対方向の平均流が生じる、などが認められた。本数値実験では、さらに、内部重力波のエネルギー集中により、増大した鉛直変位が密度逆転を引き起こす過程を見ることができた。 ○内部重力波の運動エネルギー減衰時間と基本場のシアーの強さとの関係を調べた。シアーの持つ最大流速が内部重力波の位相速度より小さい場合には減衰時間はシアーが大きくなるにつれて線形的に減少したが、シアーが位相速度より大きい場合には減衰時間はシアーのない時の20分の1以下と著しく短くなった。 ○内部波の位相速度と基本場の流速が一致する深度(critical layer)で顕著な混合が生じた。混合による位置エネルギーの増加率と基本場の流速シアーの強さとの関係を調べた。鉛直混合は、流速シアーが強いほど促進されるわけではなく、流速シアーの持つ最大流速が内部重力波の位相速度の約5倍のときに最も顕著であった。 2.観測による研究 近慣性周期内部重力波と類似した特性を持つ内部潮汐について、駿河湾奥部での観測結果を解析した。解析の結果、内部潮汐波に依って湾奥に新たに内部静振が生じていたことが明らかとなった。この内部静振が生じる過程(内部潮汐と海底地形との相互作用)が、内部潮汐波エネルギーの減衰機構において重要であること、および海水混合に重要な役割を果たしていることを指摘した。
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[Publications] Kitade,Y and M.Matsuyama: "Coastal-trapped waves with several-day period caused by wind along the southeast coast of Honshu, Japan"Journal of Oceanography. Vol.56. 727-744 (2000)
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[Publications] 北出裕二郎 他: "内部潮汐波に依って起こされる内浦湾奥部の内部静振"沿岸海洋研究. (印刷中). (2001)
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[Publications] I vonne,R., et al: "Numerical modeling of density current in Tokyo Bay"La mer. (In Press). (2001)